【Excel初心者向け】行・列の挿入&削除|図解で基本から応用まで解説

2025年5月23日

行・列の挿入&削除|図解で基本から応用まで解説のアイキャッチ画像。表計算のグリッド線と挿入・削除を表すプラスマイナス記号、パソコンの前に座る猫のキャラクターが描かれたデザイン
目次

はじめに

Excel(エクセル)で表を作成していると、「ここに1行追加したい」または「この列は不要だから消したい」という場面がよくあります。

そんなときに必要になるのが、行や列の挿入・削除の操作です。

この記事では、Excel初心者の方でも安心して操作できるよう、行・列の挿入・削除方法を画像付きで詳しく解説します。基本的な手順から、知っておくと便利な応用テクニックまで、解説します。

Excelの基本操作をもっと学びたい方は、Excel初心者向け記事一覧もぜひご覧ください。

行・列の挿入・削除のメリット

まず、行・列の挿入・削除がなぜ重要なのかを理解しましょう。

行・列の挿入でできること:

  • 途中にデータを追加したいときに、新しい行や列を作成
  • 表の構成を後から変更
  • データの整理や分類を改善

行・列の削除でできること:

  • 不要な行や列を除去してすっきりした表に
  • データの重複を解消
  • 印刷範囲の調整

重要なポイントは、多くの場合、行や列を挿入・削除しても、Excel内の数式(計算式)や条件付き書式(セルの色分けルール)は自動的に調整されることです。

つまり、既存のデータや設定を壊すことなく、安心して表の構成を変更できます。

列の挿入方法

列の挿入とは、縦方向(A列、B列、C列...)に新しい列を追加することです。

基本的な列の挿入手順

サンプルデータで練習してみましょう:

Excel表の例:名前、年齢、住所のデータが入力されたシンプルな表

上記のような表で、B列(年齢)とC列(住所)の間に「職業」列を追加したい場合の手順:

  • 挿入したい位置の列見出し(この例ではC列)をクリック
  • 挿入される新しい列は、選択した列の左側に追加されます(選択した列が右に移動します)
  • 列全体が選択状態になっていることを確認
    Excel列見出しC列が選択されている状態
    • 選択した列見出しを右クリック
    • マウスの右ボタンをクリックすると、メニューが表示されます
    • 表示されたメニューから「挿入」を選択
    右クリックで表示されたメニュー、挿入オプションがハイライト
    • 新しい列が挿入されます

    結果:

    複数列の同時挿入

    一度に複数の列を挿入することも可能です:

    • 挿入したい列数分の列見出しをドラッグして選択(例:3列挿入したい場合は、C列からE列まで選択)
    • 右クリックして「挿入」を選択(選択した列数と同じ数の列が挿入されます)
    Excel列見出しC列からE列まで3列が同時選択された状態
    3列挿入した結果

    挿入後の書式設定オプション

    列を挿入すると、右下に小さなアイコンが表示されます。これは「貼り付けオプション」で、新しい列の書式(文字の色、背景色など)をどのように設定するかを選択できます。

    挿入後の書式設定オプション画面

    選択できるオプション:

    • 左の列と同じ書式:挿入位置の左隣の列と同じ書式を適用
    • 右の列と同じ書式:挿入位置の右隣の列と同じ書式を適用
    • 書式のクリア:書式なしの状態で列を挿入

    初心者の方は、基本的に「左の列と同じ書式」を選択するのがおすすめです。

    列の削除方法

    不要な列を削除する方法も覚えておきましょう。

    基本的な列の削除手順

    • 削除したい列の見出しをクリック
    • 列全体が選択されていることを確認
    • 右クリックして「削除」を選択
    列の削除操作:右クリックメニューで削除を選択
    • 選択した列が削除されます
    列削除の結果:指定した列が消去された表

    注意点:

    • 削除した列のデータは完全に消去されます
    • 元に戻すにはCtrl+Zを押すか、画面上部の「元に戻す」ボタンをクリック

    行の挿入方法

    行の挿入とは、横方向(1行目、2行目、3行目...)に新しい行を追加することです。

    基本的な行の挿入手順

    サンプルデータ:

    Excel表の例:名前、年齢、住所のデータが入力されたシンプルな表

    2行目と3行目の間に新しいデータを追加したい場合:

    • 挿入したい位置の行番号(この例では3行目)をクリック
    • 新しい行は、選択した行の上に挿入されます(選択した行が下に移動します)
    • 行全体が選択状態になっていることを確認
    「Excel行番号3行目が選択されている状態
    • 選択した行番号を右クリック
    • 表示されたメニューから「挿入」を選択
    行の挿入操作:右クリックメニューで挿入を選択
    • 新しい行が挿入されます
    行挿入の結果:新しい行が追加された表

    複数行の同時挿入

    列と同様に、複数行の同時挿入も可能です:

    • 挿入したい行数分の行番号をドラッグして選択
    • 右クリックして「挿入」を選択
    Excelの行見出し3行から5行まで3行が同時選択された状態
    3行挿入した結果

    挿入後の書式設定オプション

    行を挿入した場合も、書式設定オプションが表示されます。

    行挿入後の書式設定オプション画面

    選択できるオプション:

    • 上の行と同じ書式:挿入位置の上の行と同じ書式を適用
    • 下の行と同じ書式:挿入位置の下の行と同じ書式を適用
    • 書式のクリア:書式なしの状態で行を挿入

    行の削除方法

    基本的な行の削除手順

    1. 削除したい行の番号をクリック
    2. 行全体が選択されていることを確認
    3. 右クリックして「削除」を選択
    行の削除操作:右クリックメニューで削除を選択す

    選択した行が削除されます

    行削除の結果:指定した行が消去された表

    注意点:

    • 削除した行のデータは完全に消去されます
    • 誤って削除した場合は、すぐにCtrl+Zで元に戻しましょう

    知っておくと便利な応用テクニック

    ショートカットキーを使った高速操作

    • 行の挿入:行を選択してCtrl+Shift+「+」
    • 列の挿入:列を選択してCtrl+Shift+「+」
    • 行・列の削除:行または列を選択してCtrl+「-」

    重要な注意点: ショートカットキーの「+」と「-」は、キーボード右側のテンキー(数字キーパッド)の「+」「-」では動作しません。テンキーに慣れている方はご注意ください。

    セル範囲を選択しての挿入・削除

    行や列の見出しをクリックするのではなく、セル範囲を選択してから挿入・削除することも可能です:

    • 挿入または削除したい範囲のセルを選択
    • 右クリックして「挿入」または「削除」を選択
    • 「行全体」または「列全体」を選択

    数式への影響を確認

    行・列の挿入・削除を行う前に、以下の点を確認しましょう:

    • 数式(SUMAVERAGEなど):多くの場合、自動的に範囲が調整されます
    • グラフ:データ範囲が自動更新されることが一般的です。
    • 条件付き書式:用範囲が自動調整されることが多いです。

    絶対参照(例:$A$1)は、数式をコピーした際などに参照するセルを固定する便利な機能ですが、行や列の挿入・削除時には意図した通りに数式が調整されないことがあります。絶対参照について詳しく知りたい方は、Excel絶対参照の使い方をご参照ください。

    • 削除によるエラーの例:例えば、$A$1 のように絶対参照で特定のセルを参照している数式があり、そのA1セルを含む行や列を削除してしまうと、数式は参照先を失い「#REF!」というエラーが表示されます。これは「参照先が見つかりません」というExcelからのサインです。
    • 挿入による計算漏れの例:また、=SUM($B$2:$B$10) のように絶対参照で合計範囲を指定している表で、B列の5行目と6行目の間に行を挿入しても、合計範囲は $B$2:$B$10 のまま自動で広がりません。そのため、新しく挿入した行のデータが合計から漏れてしまう可能性があります。

    もし「#REF!」エラーが出たら 行や列を挿入・削除した後に数式セルに「#REF!」と表示されたら、まずは落ち着いて Ctrl + Z キーで操作を元に戻してみましょう。多くの場合、これでエラー前の状態に戻ります。その上で、エラーの原因(例:削除すべきではなかったセルを削除した)を確認し、数式の修正や操作方法の見直しを検討してください。

    他のシートを参照している数式も注意 他のシートのセルを参照している数式も、参照先のシートで行や列の操作を行うと影響を受け、「#REF!」エラーなどが生じる場合があります。シート間の参照が多い場合は、特に慎重な操作と確認が必要です。

    最後に「念のため確認」を習慣に 行や列の挿入・削除後は、主要な計算結果(合計値など)やグラフの表示が、ご自身の意図通りになっているかを目で見て確認する習慣をつけましょう。これにより、万が一のミスも早期に発見できます。

    トラブルシューティング

    よくあるトラブルと解決方法

    問題1:右クリックメニューに「挿入」「削除」が表示されない

    • 原因:特定のセルのみを選択しており、行全体または列全体を選択していないため
    • 解決方法:行番号または列見出しをクリックして、行・列全体を選択

    問題2:挿入・削除後に数式がエラーになる

    • 原因:参照先のセルが削除された
    • 解決方法:数式を確認し、正しいセル参照に修正
    Excel数式エラー表示例:#REF!エラーが表示されたセル

    問題3:書式が崩れる

    • 原因:挿入後の書式設定が適切でない
    • 解決方法:挿入後に表示される書式オプションで適切な設定を選択

    実践練習用データ

    以下のデータをExcelにコピーして、行・列の挿入・削除を練習してみましょう:

    商品名価格在庫数カテゴリ
    りんご15050果物
    バナナ10030果物
    キャベツ20020野菜
    人参8040野菜
    商品名、価格、在庫数、カテゴリが入力された商品管理表の例

    練習課題:

    1. 「価格」と「在庫数」の間に「販売開始日」列を挿入
    2. 「人参」の行を削除
    3. 1行目の上に「店舗名:○○商店」という行を挿入

    よくある質問

    Q: 行や列を削除したときに、データを復元することはできますか

    A: はい、削除直後であればCtrl+Zキーで元に戻すことができます。ただし、ファイルを保存してしまった後は、基本的に復元できません。重要なデータを扱う際は、削除前にバックアップを取ることをおすすめします。

    Q: 一度に挿入できる行・列の数に制限はありますか

    A: Excelのシートごとには最大行数(1,048,576行)と最大列数(16,384列)という制限がありますが、一度に挿入する操作自体の技術的な制限は特にありません。

    Q: 挿入・削除で数式が自動調整されない場合があります

    A: 絶対参照($記号付き)を使用している数式や、他のシートを参照している数式は自動調整されない場合があります。これらは手動で確認・修正が必要です。

    Q: 非表示の行・列がある場合、挿入・削除はどうなりますか

    A: 非表示の行・列も通常の行・列と同様に扱われます。Excelでは、行や列を非表示にしても、データが消えるわけではなく、一時的に見えなくなっているだけです。そのため、挿入や削除の操作は、表示されている行や列と同じように、非表示の行や列にも影響しますので、注意が必要です。

    挿入の場合: 例えば、A列とC列の間にB列があり、B列だけが非表示になっているとします。この状態でC列を選択して新しい列を挿入すると、新しい列は非表示のB列とC列の間(つまり、元のC列の位置)に挿入され、元のC列はD列に移動します。見た目上はA列とC列の間に列が挿入されたように見えますが、実際には非表示のB列の右隣に挿入されています。

    削除の場合(特に注意): もしA列とC列が表示され、B列が非表示の状態で、A列からC列まで(見た目上は2列ですが、実際はA・B・Cの3列)を選択して削除操作を行うと、非表示になっているB列も一緒に削除されてしまいますB列に重要なデータが隠れていた場合、気づかないうちにそのデータも失ってしまう可能性があります。

    安全に操作するために: このような意図しない操作を防ぐため、行や列を挿入・削除する前、特に広範囲の削除を行う場合は、関連する可能性のある範囲の行や列を一度すべて再表示して、非表示になっているデータがないか確認することをおすすめします。

    行・列の表示・非表示の詳しい設定方法については、「Excel行・列の表示・非表示設定方法」で解説しています。

    Q: 複数のセルが結合されている場合の挿入・削除はどうすればよいですか

    A: 複数のセルが結合されている行や列の挿入・削除は、Excelがどのように処理すればよいか判断しにくいため、予期せぬ結果になることがあります。

    なぜ問題が起きやすいの? Excelは結合されたセルを一つの大きなセルとして扱います。行や列を挿入・削除しようとすると、この大きなセルの一部だけが影響を受ける場合、Excelは結合を解除したり、レイアウトを崩したりすることがあります 。

    どんなことが起こる?

    ·  結合の解除: 挿入・削除の操作の過程で、セル結合が自動的に解除されてしまうことがあります。これは特に行を削除した場合などに見られます。

    ·  レイアウトの大きなズレ: 例えば、A1セルとB1セルが結合されている表で、B列の位置に新しい列を挿入しようとすると(C列を選択して挿入するなど)、A1:B1の結合は維持されたまま、新しい列がC列に作られ、元のC列以降が右にずれることがあります。 この結果、意図した場所に列が挿入されず、表全体のレイアウトが大きく崩れてしまう可能性があります。

    ·  エラーが表示されて操作できない: 「この操作は結合したセルには行えません」といったメッセージが表示され、挿入や削除が実行できないこともあります。

    ·  意図しないデータの移動や部分的な削除: 複雑な結合がある場合、データが予期しないセルに移動したり、結合セルの一部だけが影響を受けて内容が部分的に失われたように見えたりすることもあります。

    どうすればいい? 安全な手順はこれ!

    1. 操作前に結合を解除: 最も安全なのは、挿入・削除したい行や列の周辺にある結合セルを一時的に解除することです 。結合セルを選択し、「ホーム」タブの「配置」グループにある「セルを結合して中央揃え」ボタンから「セル結合の解除」を選びます。
    2. 行・列の挿入・削除を実行: 結合が解除された状態で、目的の行または列を挿入・削除します。
    3. 必要なら再結合: 操作が終わったら、必要に応じて再度セルを結合して元のレイアウトに戻します。複雑な表の場合は、どのセルが結合されていたか覚えておくか、事前にスクリーンショットを撮っておくと安心です。

    手間はかかりますが、この手順で、表のレイアウトが大きく崩れるのを防げます。セル結合の詳しい操作方法については、「Excelセル結合の基本操作」も参考にしてください

    まとめ

    Excel の行・列の挿入・削除は、表作成の基本操作として必ず覚えておきたいスキルです。この記事で学んだポイントをまとめると:

    基本操作のポイント:

    • 行番号・列見出しをクリックして全体を選択
    • 右クリックで「挿入」「削除」を選択
    • 挿入後の書式オプションを適切に設定

    安全に操作するために:

    • 重要なデータは事前にバックアップ
    • 削除前に本当に不要な行・列か確認
    • 数式への影響を事前にチェック

    効率を上げるために:

    • ショートカットキーの活用
    • 複数行・列の同時操作
    • 書式設定オプションの理解

    これらの操作をマスターすることで、Excelでの表作成がより効率的になり、データの整理や分析作業がスムーズに進むでしょう。最初は一つずつ丁寧に操作を確認しながら進め、慣れてきたら応用テクニックも活用してみてください。

    Excelの行・列の挿入・削除は、効率的な表作成に欠かせない基本スキルです。この記事で解説したポイントをしっかりマスターして、Excel操作のレベルアップを目指しましょう。

    最後に、これだけは押さえておきたい重要ポイント

    • 正確な基本操作を身につける
      • 行・列の全体選択は、行番号・列見出しをクリック。
      • 選択後は、マウスの右クリックから「挿入」または「削除」を選びましょう。
      • 挿入時に表示される書式オプションは、「左(上)の列(行)と同じ書式」を選択するのがおすすめです。
    • 安心して作業するための準備と確認
      • 最重要:操作前には必ずデータのバックアップを習慣にしましょう。
      • 削除する前には、本当に不要な情報か、関連する数式に影響が出ないかをダブルチェックしてください。
    • 作業スピードを格段に上げるテクニック
      • ショートカットキーを積極的に活用しましょう(挿入: 「Ctrl」 + 「Shift」 + 「+」 / 削除: 「Ctrl」 + 「-」)。
      • 複数の行や列を一度に選択して、まとめて挿入・削除すると効率的です。
      • 挿入後の書式オプションを理解し、適切に設定することで、手直しする手間を省けます。

    これらのポイントを意識して繰り返し練習することで、Excelでの表作成やデータ編集が、より速く、より正確に行えるようになります。最初はゆっくりでも構いませんので、一つ一つの操作を確認しながら、着実にスキルアップしていきましょう。この記事が、あなたのExcel操作をサポートできれば幸いです。

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