【新人SE&学生さん向けコラム】新人が担当する仕事の代表例、議事録について
基幹業務システム(主に)の開発と新人プログラマのOJTに20年ほど関わった観点から
IT業界未経験または新人さん向けに議事録という仕事についてどうこなせばいいかを記述します。

説明
新人さんは会議の内容が意味不明で当然
議事録は新入社員に任せれることが多い仕事です。
担当していると「なぜこんな作業をしないといけないのだろう?」と思うことや
人によっては或いは
「日本語だけど、自分には理解できない会話が進んでいく」
という経験があるのではないでしょうか?
理解できないことが多いのは当然で、むしろ全て理解できる方が不自然です。
全部解っているという新人さんは、そう思い込んでいるだけか、
会議自体のレベルが低い可能性が高いです。
なぜ理解できないかというと、以下の3つの理由があります。
- ITや顧客業界の専門用語を知らない
- コミュニケーションの経験量が少ない
- そのグループ特有の用語や省略されている前提知識がある
2は新人さんだけの理由ですが、
1と3は転職や配置変更直後にはベテランSEでもひっかかります。
ITや顧客業界の専門用語を知らない
新人さんがまずひっかかる課題です。
特に顧客業界の言葉は日本語のようで、
通常の日本語でないことが多いです(金融が顕著)。
用語を知らなければ意味不明でも仕方ありません。
会議中にわからない用語が出てきたら可能な限りメモしておき、
出来るだけ自分で調べた上で、それでもわからない場合には先輩に確認しましょう。
プロジェクトやグループが変わると利用する技術や顧客の特性が変わることが多いため
ベテランであっても十分にひっかかることがあります。
コミュニケーションの経験量が少ない
学校で真面目に勉強していたか、ゲームに熱中した人程、
コミュニケーションの経験量が少ないため、
聞いて理解する能力が足りていない場合があります。
同期の多い場合は、新人研修などでそれを感じるかもしれません。
発達障害的なものはレアケースで多くの場合は、単純に経験量です。
基本的に人との交流が多い(悪く言うと遊び回っている)ほど、この能力は高いです。
逆に研究や勉強に没頭しているほど、この能力は低いです。
これは基本的に個性の範囲です。得意技の違いというくらいに考えましょう。
とはいえ無視していいことではないので、
意識して社内や社外でのコミュニケーションを増やすか、
コミュニケーションスキルのスクールに通うのも良いでしょう。
(実は私も8年ほど通ってました)
他人の発言を理解するのは意外とスキルが必要なので
「理解しようとする&理解してもらおうとする」努力は常に意識しましょう。
そのグループ特有の用語や省略されている前提知識がある
専門用語のようで実はローカル用語であったり、
前提知識があるためにあえて言わずとも通じている事項があります。
これは会社レベルでなくプロジェクトといった最小グループ単位で発生し、
特にグループの存在期間が長いほど多く発生します。
この辺りは専門用語と同様に学習するしかありませんが、
それが専門用語なのか、そうでないかを判断することはできません。
一旦、専門用語だと仮定した上でWebで調べて
それでもわからなければ先輩に確認しましょう。
議事録をどう書くか
基本的にはグループでフォーマットや作法があるので、それに従いますが、
システム業界の理想的な議事録の形を言うと
ICレコーダーやスマホアプリで会議の内容を録音しつつ、
次のように限られた事項のみを記録していきます。
- 決まった事項(ルールなど)
- タスクについて誰が何時までに何を達成するか
- 今後の検討課題
本当に議事録に必要なものを記録するのは高度技です。
話の内容を全て記録しようとする人もいますが、
特殊な速記術がないと無理であり、大事なものを聞き落としてしまうリスクが高くなります。
また話の途中段階は記録する価値がないものが多く、
(記録した方が良い事項もありますが、これを残すと判断するのは高度技)
録音さえしていれば、そこまで記録に残す必要がありません。
議事録が記述量が無駄に多くて読めない代物になるだけです。
なぜこれが新人の仕事になっているかというと、
単純に組織文化として残っているだけか、
会議に何かしら参加させて眠く(無駄に)させないためです。
前者であればどうしようもないですが(会社ガチャや部門ガチャの外れ)、
後者が基本であり、議事録の成果は求めておらず新人教育の一環です。
教育をする立場としては以下のような効果を期待します。
- 分からない用語の存在を自覚して学習してほしい
- コミュニケーションと文書作成の経験を増やしたい
- どのくらい仕事のことを理解しているかを測定したい
本来、必要な議事録は上司が持っており修正が入ります。
よって、ただ議事録を下っ端の単純作業ではなく
高度な学習の一環だと捉えて全力に取り組むことをお勧めします。
議事録と先輩ガチャ・上司ガチャ
議事録をどう捉えているかで先輩ガチャ・上司ガチャが当たりか外れかを考えることができます。
項目 | 当たり要素(高レア) | 外れ要素(低レア) |
---|---|---|
用語を質問した場合の対応 | 真っ当に答える (ただし自習も必要) | キレる 特にダブスタ先輩・上司は危険。 ・早めに聞くと「自分で調べから聞け」 ・自分で調べてから聞くと「なぜ早く聞かない」 |
提出した内容について | 修正部分について説明する | 修正箇所があるとキレる |
議事録という仕事への認識 | 新人教育の一環だと認識している | 新人の業務だと認識している |
終わりに
議事録は新人に回されることが多い業務です。
実は高度な業務なため人によっては全くこなせなかったり、
任させる意味が分からなかったりする業務です。
退屈だったり、苦痛だったりもするかもしれませんが、
ここで記述したように担当することが出来れば
自分の成長のためにすることができますし、
上司ガチャに失敗したのでは?というときの判定材料にもなるため
この記事を読んだ皆様が、より効果的に議事録作成という業務を担当できるようになることを祈ります。