【新人SE&学生さん向けコラム】名著紹介「SEを極める50の鉄則」

基幹業務システム(主に)の開発と新人プログラマのOJTに20年ほど関わった観点から

入社1~3年目程度の新人SEさんや、IT業界への就職を考えている学生さん向けに

絶対に読んだ方がよい名著「SEを極める50の鉄則」について紹介します。

解説

「SEの神様」と呼ばれる馬場史郎先生の2000年発売の著書です。

日本のIT業界では聖書のように扱われ、2019にも新装版が発売されています。

私自身もこの本は名著だと思っており、新人SEや学生にはぜひ読んでおいてほしい本です。

精神論と技術軽視に満ち溢れるこの本は

ブラックIT土方と人材派遣(奴隷販売)を行う経営者と営業に大変、都合がよく

多くの若者を騙し、使い捨てるための洗脳教材として大きな活躍をしました。

それが「SEの(逆)神様」と呼ばれる所以でしょう。まさに聖書です。

この素晴らしい書物を読めば、日本のIT業界がなぜ衰退し腐っていったのかを

この上なく知ることが出来ます。

日本的なIT企業と共に心中したい方には純粋に聖書としてお勧めですし、

そうでない方には自分を守るため、

日本のIT企業の多くはこういう会社であると自衛の意味で知り、

脱日本的ITを達成するため、またはそもそも入らないための

モチベーションにするとよいでしょう。

新人教育担当や採用担当がこの本を強くプッシュしたり、

この本の鉄則に近いことを言っていたら、

危険な会社の可能性があると思った方がよいです。

IT軽視を助長した鉄則

  • 任務はビジネスの達成と顧客満足度の向上
  • ビジネス常識を持つITの専門家を目指せ
  • 迷った時の基準は顧客が51、会社が49
  • ビジネス意識を持ち営業部門と協業せよ
  • 「顧客」「ビジネス」など5つの側面に強くなれ
  • 好きな仕事だけでは大成しない
  • 政治的能力を持て、ITだけでは不十分
  • ビジネスに強いSEは顧客に信頼される
  • ビジネスに強いSEは堂々と大仕事ができる
  • IT偏重の新人教育を止めよ

事実と言えば事実ですが、

私としては理系の研究室上がりのデータアナリストに

ちょうどいいかな?という具合です。

顧客とかビジネスがどうでもいいというエンジニアはレアなのに

IT偏重はダメと主張した結果、

ビジネススキルが偏重されITが軽視され続けました。

結果として今、IT業界だけなく日本全体が技術を失って苦しんでおりますが…。

バブル後の不況で日本企業は多くの技術者をリストラし、

そう言った人たちはサムスン等で大活躍し、日本は沈没に向かいます。

めでたしめでたし。

一時、プログラミングのオフショア(海外委託)が流行ったとこもあり、

日本人にはITが求められない風潮がありました。

ロクにプログラミングのできないSEの誕生です。

(新人教育の担当者はプログラマは要らないと言い切る始末)

その結果、現実的な提案やマネジメントする土台すら失い、

日本独自のサービスを作れず、Amazon、Google、Microsoftなどの製品に

金を払うだけの技術立国(笑)となりました。

確かにIT偏重の人材も困りものな側面はあるのですが

インターネット普及した後は、ITも高度化しすぎて

IT偏重はダメとはとても言えない状況になっています。

  • オブジェクト指向以降のプログラム言語
  • 高セキュリティのプログラミング
  • 高不可環境/ビッグデータのプログラミング
  • モバイル
  • クラウド(ITインフラ)

ビジネス寄りのSEが必要なことも理解できますが、

もはやCOBOLしかプログラム言語がない時代は終わっているので、

本気でバランスを考える必要があります。

ブラック労働・精神論を容認する鉄則

5年ごとに落第の危機、若いときの経験が鍵握る

確かに20代は体力任せに多くの質の高い経験をする方が良いは思います。

(結構、場数が大事なので)

ただ実運用としては「だからこれをやってね?」と

エンジニアのスキルとならない雑用を押し付けつつも、

給料を低く抑え、質の低い長時間労働のための方便として使われました。

締切日は厳守する

これ自体は当然なんですが、

結果として非現実的な短期開発スケジュールと

顧客の低リテラシーと上流工程の稚拙さによる仕様変更乱発を

納期そのままで強行するための方便として使われました。

営業や経営者・管理職を堕落させた鉄則

営業に「顧客を盾に騒ぐだけ」を許した鉄則

  • 体で本音を知り顧客に強くなる
  • ITに強いのは当然、気配りや行動力も重要
  • 短期間で自分を売り込み顧客の気持ちをつかむ
  • 情熱と思いで顧客に訴える
  • ビジネスの話をしてセールスに強くなる

提案型SEという名目でSEを実質的に営業を担当をさせる温床になり、

これにより顧客の言葉を盾にし、自分のコンプレックスを

エンジニアにぶつけてハラスメントするだけの

営業の正当化に利用されました。

優秀なエンジニアを追放するための鉄則

  • チームワークを重視、守備範囲は臨機応変
  • 組織力を発揮できるSE集団を育てよ

日本人は特に「出る杭は打たれる」傾向が強いので、

チームワークや組織力が大事は当然なのですが、

このあたりの言葉は国全体として結局、

突出したエンジニアや科学者を国外に排除するための方便になりました。

経営者と管理職の学習・職務放棄を許した鉄則

  • 所属長に自分の仕事を理解してもらう
  • 多種多様な経験を積みキャリアは自分で作る

これはこれで正しいのですが、

結果として経営者と管理職の学習放棄を許し

エンジニアの技術面の仕事内容を理解できないという事態に陥っています。

その結果、本来現場にとって大事な「静かで有能なエンジニア」が冷遇され、

「声がでかいだけの人間」が優遇されるという事態に陥りました。

仕事内容が理解できないと、

会社として現実的なキャリアパス作成や目標設定も行えません。

これをエンジニアの自己責任とするには都合の良い鉄則です。

(自分の感情で評価だけは都合よく行う形)

最後に

名著とか言いつつ実質ディスってますが、

この本の内容そのものは未だに頷けることや、

社会人としてSEとして身につけるべきと思う場所が多くあります。

「多くの若者を騙し、使い捨てるための洗脳教材」と表現しましたが

詳細を読むと馬場史郎先生にそんなつもりはなく、

IT業界を発展させるために本当に必要なことを言っていると感じます。

(時代に合わない箇所と都合よく悪用される箇所が多いだけで)

よって入社1~3年目程度の新人SEさんや、

IT業界への就職を考えている学生さんには

割と真実であるが、時代遅れな部分と悪用される方便でもあると認識したうえで

SEを極める50の鉄則」 を読んでみることをお勧めします。

この本が聖書な企業に入ってしまったら…

皆様。昭和(とその延長の平成)でなく、令和を生きましょう。

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