【ChatGPT】Excelマクロを自動生成する方法：初心者でも簡単にできる効率化術
はじめに
毎日のExcel作業で、同じ操作を何度も繰り返していませんか。データ入力、集計作業、レポート作成など、手作業で時間をかけている業務があるなら、ChatGPTを使ったマクロ作成が強力な味方になってくれます。
「マクロって難しそう」「プログラミングができないから無理」と思っている方こそ、この記事を読んでみてください。ChatGPTの力を借りれば、専門知識がなくても驚くほど簡単にExcel作業を自動化できるのです。
Excel作業はまだ手作業？「マクロ」で劇的に変わる自動化の世界
マクロって何？難しく考えなくて大丈夫
マクロとは、Excelの作業を自動で実行してくれる「魔法」のようなものです。難しく考える必要はありません。
例えば、毎月の売上データをまとめる作業を想像してみてください。手作業だと以下のような手順が必要です：
- 複数のシートからデータをコピー
- 新しいシートに貼り付け
- 合計を計算
- グラフを作成
- 体裁を整える
この一連の作業を、マクロならボタン一つで瞬時に完了させることができます。まさに、手作業で消耗していた時間を大幅に短縮できる「時短の切り札」なのです。
日常業務でマクロが活躍する場面は数え切れません：
- 定型入力の自動化：住所を都道府県と市区町村に自動分割
- データ集計の自動化：複数シートの売上データを一つにまとめる
- 複数シートの操作：全てのシートに同じフォーマットを一括適用
- レポート作成の自動化：データからグラフ付きの報告書を自動生成
「プログラミングの壁」はChatGPTが壊してくれる
多くの人が「マクロ＝プログラミングが必要」と思い込んでいますが、これは大きな誤解です。確かに従来は、VBA（Visual Basic for Applications）というプログラミング言語を覚える必要がありました。
しかし、ChatGPTの登場によって状況は一変しました。ChatGPTはあなたの強力なアシスタントとして、日本語での指示を理解し、適切なマクロコードを生成してくれます。
つまり、あなたがすべきことは：
- プログラミングコードを書くこと ← 不要
- 複雑な文法を覚えること ← 不要
- やりたいことを日本語で伝えること ← これだけ
ChatGPTが「翻訳者」の役割を果たし、あなたの「こんなことがしたい」という希望を、Excelが理解できるマクロコードに変換してくれるのです。
事務職の「困った」を解決 ChatGPTマクロで自動化できることリスト
実際にChatGPTマクロで解決できる、事務職の方によくある課題をご紹介します。
データ入力の自動化
- Before：氏名と住所が一つのセルに入っており、手作業で分割している
- After：マクロが自動で「山田太郎 東京都新宿区」を「山田太郎」「東京都」「新宿区」に分割
レポート作成の自動化
- Before：各支店のデータを手作業で集計し、グラフを一つずつ作成
- After：マクロが全支店のデータを自動集計し、グラフ付きの報告書を一括生成
定型メールの自動作成
- Before：顧客データを見ながら一通ずつメール本文を入力
- After：Excelの顧客データから、挨拶文付きのメール本文を自動生成
ファイル操作の自動化
- Before：複数のExcelファイルを一つずつ開いてPDFに変換
- After：フォルダ内の全ExcelファイルをまとめてPDF変換
これらの作業時間を、従来の10分の1以下に短縮できる可能性があります。
【超初心者向け】ChatGPTでマクロを自動生成する３ステップ
ステップ1：ChatGPTへの「おまかせ」依頼のコツ（プロンプトの書き方）
ChatGPTに良いマクロを作ってもらうには、「具体的で分かりやすい指示(プロンプト)」が重要です。
良い指示の例：
A列に入力されている「姓 名」のデータを、B列に「姓」、C列に「名」として分割するExcelマクロを作成してください。データは1行目がタイトル行で、2行目から実際のデータが入っています。より良いマクロを作るための3つのコツ：
1. 具体的に伝える
- 何を（どのセルやシートを）
- どうしたいか（どんな処理をしたいか）
- どんなデータがあるか（形式や量など）
2. 目的を伝える
毎月の売上報告書作成を効率化するために、各支店のデータを自動で集計したいです3. 例を挙げる
例：A1セルに「山田 太郎」があるとき、B1に「山田」、C1に「太郎」を入力NGなプロンプト例とその改善策：
❌ NGプロンプト：「データを処理するマクロを作って」
⭕ 改善プロンプト：「A列の売上データ（数値）をB列に消費税込み（1.1倍）で計算するマクロを作成してください」
❌ NGプロンプト：「便利なマクロが欲しい」
⭕ 改善プロンプト：「複数のシート（Sheet1〜Sheet5）のB列の合計値を、新しいシートの一覧表にまとめるマクロを作成してください」
ステップ2：ChatGPTが作ったマクロコードをExcelに貼り付けよう
ChatGPTからマクロコードを受け取ったら、Excelに貼り付けて実行できるようにしましょう。
手順1：開発タブを表示する
- Excelを開き、「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「リボンのユーザー設定」を選択
- 右側の一覧から「開発」にチェックを入れる
- 「OK」をクリック
手順2：Visual Basic Editor（VBE）を開く
- リボンの「開発」タブをクリック
- 「Visual Basic」ボタンをクリック
- VBE（マクロを入力する画面）が開きます
手順3：標準モジュールを挿入
- VBEの「挿入」メニューから「標準モジュール」をクリック
- 新しいModule1が作成されます
手順4：コードを貼り付け
- ChatGPTからコピーしたコードを選択（Ctrl+Cでコピー）
- Module1の白い部分にカーソルを置く
- Ctrl+Vで貼り付け
手順5：マクロを実行
- VBEの「実行」メニューから「Sub/ユーザーフォームの実行」をクリック
- または、Excelに戻って「開発」タブの「マクロ」から実行
実行前には必ずデータのバックアップを取っておきましょう。万が一の場合に元に戻せるよう準備しておくことが大切です。
重要：マクロ付きファイルの保存形式について
マクロを作成したら、必ずxlsm形式で保存する必要があります。この違いを理解しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
ファイル形式の違い：
xlsx形式（一般的なExcelファイル）
- マクロを保存できない
- セキュリティが高い
- ファイルサイズが小さい
- 日常的なデータファイルに適している
xlsm形式（マクロ有効ブック）
- マクロを保存できる
- ファイル拡張子でマクロ付きと分かる
- セキュリティ注意が必要
- マクロ機能が必要なファイルに使用
保存時の手順：
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」をクリック
- 「ファイルの種類」で「Excelマクロ有効ブック（*.xlsm）」を選択
- ファイル名を入力して「保存」をクリック
もしxlsx形式で保存しようとすると、「マクロを含むブックは、マクロなしのブックとして保存されます」という警告が表示され、マクロが削除されてしまいます。
xlsmファイルを受け取った場合の注意： ファイル拡張子が「.xlsm」のファイルを受け取ったら、「このファイルにはマクロが含まれている」と分かります。信頼できるソースからのファイルかどうかを必ず確認してから開くようにしましょう。
マクロ有効化の警告画面について
マクロ付きファイル（xlsm）を開くと、必ず警告メッセージが表示されます。この画面が出ても慌てる必要はありません。正常な動作です。
よく表示される警告メッセージ：
パターン1：黄色い警告バー
- ファイルの上部に黄色いバーが表示される
- 「セキュリティの警告 マクロが無効にされました」
- 「コンテンツの有効化」ボタンが表示される
パターン2：セキュリティリスクの警告
- 「セキュリティリスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」
- この場合は、ファイルのプロパティから「ブロックの解除」が必要
パターン3：保護されたビュー
- 「保護されたビュー インターネットから入手したファイルは、ウイルスに感染している可能性があります」
- 「編集を有効にする」→「コンテンツの有効化」の順にクリック
安全にマクロを有効にする手順：
- ファイルの出所を確認：自分で作成したファイル、または信頼できるソースからのファイルか確認
- 「コンテンツの有効化」をクリック：信頼できるファイルであれば、このボタンをクリック
- マクロが使用可能に：警告バーが消え、マクロが実行できる状態になる
重要なポイント：
- この警告はセキュリティ機能であり、故障ではありません
- 自分で作成したマクロなら安心して「コンテンツの有効化」をクリックしてOK
- 不明なファイルの場合は、マクロを有効にせず、送信者に確認することを推奨
一度「コンテンツの有効化」をクリックしたファイルは、次回開く際は警告が表示されず、マクロが自動的に利用可能になります。
ステップ3：エラーが出ても大丈夫 ChatGPTと「二人三脚」デバッグ術
マクロが動かない時でも慌てる必要はありません。ChatGPTが強力なデバッグパートナーになってくれます。
代表的なエラーと対処法：
「コンパイルエラー」が出た場合
- 原因：コードに文法的な間違いがある
- 対処法：エラーメッセージとコードをChatGPTに送り、修正を依頼
「実行時エラー」が出た場合
- 原因：指定したセルやシートが存在しない
- 対処法：実際のExcelの状況（シート名、データの範囲など）を詳しくChatGPTに伝える
ChatGPTへのエラー報告テンプレート：
以下のマクロを実行したところ、エラーが発生しました。
【エラーメッセージ】
（表示されたエラーメッセージをそのまま記載）
【マクロコード】
（動かなかったコードを記載）
【Excelの状況】
- シート名：Sheet1
- データ範囲：A1からC10まで
- 具体的なデータ例：A1に「商品名」、B1に「価格」など
修正方法を教えてください。修正の流れ：
- エラーが出たら、メッセージをしっかり読む
- エラー内容とコードをChatGPTに報告
- 修正されたコードを受け取る
- 古いコードを削除して、新しいコードに置き換え
- 再度実行してテスト
エラーは成長の証です。最初は戸惑うかもしれませんが、ChatGPTと一緒に解決していけば、だんだんコツが掴めてきます。
【注意点】ChatGPTマクロを使う上でのセキュリティと心得
マクロ利用時のセキュリティ設定の確認と注意点
マクロは便利な反面、セキュリティ面での注意も必要です。安全に使用するための基本設定を確認しましょう。
Excelのマクロセキュリティ設定：
- 「ファイル」→「オプション」→「トラストセンター」をクリック
- 「トラストセンターの設定」ボタンをクリック
- 左メニューから「マクロの設定」を選択
- 「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」（既定の設定）が選択されていることを確認
この設定により、マクロ付きファイルを開く際に黄色い警告バーが表示され、「コンテンツの有効化」ボタンをクリックしてマクロを有効にするかどうかを選択できます。最新版のExcelでは、この設定が推奨されており、意図しないマクロの実行を効果的に防ぐことができます。
セキュリティ意識のポイント：
- 不明なソースからのExcelファイルは開かない
- 同僚から受け取ったファイルでも、マクロの内容を確認してから実行
- ChatGPTが生成したコードでも、可能な範囲で内容をチェック
- 2022年以降の重要な変更：インターネットからダウンロードしたマクロ付きファイルは、デフォルトでブロックされ、「セキュリティリスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました。」というメッセージが表示される場合があります
この場合は、ファイルのプロパティから「ブロックの解除」を行うか、信頼できるソースであることを確認してから使用してください。
コードの内容が分からない場合は、「このマクロコードは何をするものですか？」とChatGPTに質問すれば、分かりやすく説明してくれます。
またAI利用における情報セキュリティも併せてご確認ください。
ChatGPTは万能じゃない？「完璧」を求めすぎない心構え
ChatGPTは非常に優秀なアシスタントですが、万能ではありません。適切な期待値を持って活用することが重要です。
ChatGPTマクロの得意分野：
- データの並び替え、抽出、計算
- 定型的な処理の自動化
- シンプルなレポート作成
- ファイル操作の基本的な自動化
ChatGPTマクロが苦手な分野：
- 非常に複雑な業務ロジック
- 他のアプリケーションとの高度な連携
- リアルタイム処理やネットワーク機能
上手な活用のコツ：
- 小さなことから始める：いきなり複雑な自動化を目指さず、単純な作業から
- 段階的に改善：最初は60%の自動化でも、徐々に完成度を上げていく
- 最終チェックは人間が行う：生成されたマクロの結果は必ず確認
最初は「これだけでも楽になった」という小さな成功体験を積み重ねることが、マクロ活用の継続につながります。
よくある質問
Q: ChatGPTマクロはExcelのどのバージョンで使えますか？
A: Excel 2010以降であれば基本的に使用可能です。ただし、一部の新機能を使ったマクロは最新バージョンでないと動作しない場合があります。
Q: マクロを作成した後、他の人にファイルを共有できますか？
A: はい、可能です。ただし、受け取った人もマクロを有効にする必要があります。また、会社によってはマクロ付きファイルの共有に制限がある場合があるので確認してください。
Q: ChatGPTに機密データを含む指示を出しても大丈夫ですか？
A: 実際のデータではなく、サンプルデータや構造だけを伝えることをお勧めします。例：「A列に顧客名、B列に売上金額」といった具合に、実際の名前や数値は使わずに説明しましょう。
Q: マクロが動かない時、どこまでChatGPTに頼っていいですか？
A: エラーメッセージやコードの修正は積極的にChatGPTに相談してください。ただし、最終的な動作確認や業務への適用判断は必ず人間が行いましょう。
Q: 一度作ったマクロを後から修正できますか？
A: はい、できます。「以前作ったマクロに○○の機能を追加したい」「条件を変更したい」などの要望も、ChatGPTに相談すれば対応してくれます。
Q: VBAをもっと本格的に学びたいのですが…
A: VBAの基礎から体系的に学びたい方は、VBA入門記事がおすすめです。
まとめ
ChatGPTを活用したExcelマクロ作成は、これまで「難しそう」「自分には無理」と思っていた方にとって、新しい可能性を開く技術です。
この記事のポイントをまとめると：
- マクロは「Excel作業の自動化」であり、ChatGPTが簡単にしてくれる
- プログラミング知識不要で、日本語の指示だけでマクロが作れる
- 3ステップ（指示→貼り付け→実行）で誰でも始められる
- エラーが出てもChatGPTと一緒に解決できる
- セキュリティに注意しながら、小さなことから始めるのがコツ
毎日の繰り返し作業に時間を取られているなら、まずは簡単な自動化から始めてみてください。ChatGPTというパートナーがいれば、あなたも必ずマクロを使いこなせるようになります。
最初の一歩は「いつもの作業を一つ選んで、ChatGPTに相談してみる」ことです。その小さな一歩が、あなたの業務効率を大きく変える転換点になるかもしれません。
Excel VBAの他の活用法については、Excel VBA活用事例集をご覧ください。
さらなる効率化を目指すなら：プログラミング思考という「考え方」を身につけよう
ChatGPTマクロで作業効率化を体験された方の中には、「もっと根本的に業務を見直したい」「自分でも論理的な改善案を考えられるようになりたい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、プログラミング思考という考え方です。これは、プログラミングそのものを覚えることではなく、「データを記録する」「条件で判断する」「繰り返し処理を効率化する」という3つの思考パターンを身につけることです。
実は、今回の記事でChatGPTに「こんな処理がしたい」と伝えられた方は、すでにプログラミング思考の入り口に立っています。その思考法をもう一歩深めることで、ChatGPTへの指示がより的確になり、業務改善のアイデアも自然と浮かんでくるようになります。
Excel感覚で学べる入門書『仕事が変わるプログラミング思考 - データと条件で考える業務術』では、メモ帳とWebブラウザだけを使って、この思考法を体験できます。「変数でデータを記録する」「if文で判断ルールを作る」「ループで繰り返し作業を理解する」といった基本概念を、皆さんの日常業務に即した事例で学習できます。
価格も480円とお手頃ですので、ChatGPTマクロで効率化の手応えを感じた方は、ぜひ次のステップとしてご検討ください。きっと、業務を見る視点がより豊かになり、改善のアイデアが次々と浮かんでくることでしょう。