Excel Copilot活用事例:複雑な集計・数式作成の効率化
数式作成における非効率性の構造
事務・経理業務における集計作業(数式作成)は、複数の要因により非効率が発生します。
第一に、関数の選定段階での判断負荷があります。SUMIFS、COUNTIFS、VLOOKUPなど、目的に応じた関数の使い分けには、一定の知識と経験が必要となります。この選定プロセス自体が作業時間を増加させる要因となっています。
第二に、関数の引数設定における複雑性が挙げられます。複数の条件を指定する際、各引数の順序や記述方法を正確に理解していなければ、構文エラーや意図しない計算結果を招きます。
第三に、エラー発生時の原因特定に時間を要します。数式監査ツールを用いても、複雑な関数の論理構造を遡って検証する作業は、担当者の負担となります。
Copilotは、自然言語による指示を論理的な数式に変換することで、知識の障壁と作業ミスのリスクを低減します。
概要解説動画
前提条件と準備
Copilotの利用には、有料ライセンスとクラウド環境(OneDrive/SharePoint)へのファイル保存が必要です。
利用可能な場合は「ホーム」タブに「Copilot」が表示されるため、それをクリックします。


実践的なプロンプト設計と実行結果
Copilotに数式作成を依頼する際は、「目的」と「条件」を明確に指定することが効率的な結果を得るための要件となります。以下に具体例を示します。
複数条件による集計
プロンプト例:
「シート『実績データ』の『売上金額』を合計し、その条件として『部門』が『経理部』、かつ『ステータス』が『完了』である数式を生成してください。」


シートの内容から数式を生成します。
生成された数式の例 :
=SUMIFS(F2:F11, C2:C11, "経理部", D2:D11, "完了")


提案された数式を、そのまま利用しても構いませんし、改修を依頼することも可能です。
下の例では「全ての列について、全行を指定してください。」と追加で依頼しています。
結果、改修後の数式と注意点が提示されます。


期間指定によるカウント
プロンプト例:
「『契約一覧』シートの『契約日』列の値が『2025年3月1日以降』のレコード数をカウントする数式を作成してください。」
生成された数式の例 :
シリアルと日付文字列の数式例が列挙されています。
=COUNTIF(契約一覧!B2:B21, ">=45717")
=COUNTIF(契約一覧!B2:B21, ">=2025/3/1")
今回はB2:B21と11行を超えたセル範囲で生成されました。
この数式であれば、そのまま使っても大きな支障はありませんし、編集することも有効です。
このセル範囲はB2:B11で生成される場合もあります。生成AI利用の上で肝心なことは結果を確認/検証し、必要に応じて編集することです。
データ検索と抽出
プロンプト例:
「『発注』シートの『製品ID』列をキーとして、別シート『商品マスタ』から対応する『単価』を検索する数式を生成してください。一致しない場合はエラー表示を抑制してください。」


複合関数を一度に生成し、検索処理の実装と同時にエラーハンドリングのロジックも組み込みます。複数の関数を段階的に構築する必要がなくなります。
生成された数式の例 :
VOOKUP関数とXLOOKUP関数の例が提示されました。Excelのバージョンなどの特徴も表示されているため、それらを参考にどちらを採用するかを検討しましょう。
=IFERROR(VLOOKUP(A2,'商品マスタ'!A:C,3,FALSE),"")
=IFERROR(XLOOKUP(A2,'商品マスタ'!A:A,'商品マスタ'!C:C,""),"")


条件に基づく評価
プロンプト例:
「『月次集計』シートの『売上』列が『目標』列以上の場合に『達成』、それ以外の場合に『未達』と表示する数式を作成してください。」
生成された数式の例 :
=IF(B2>=C2,"達成","未達")


まとめ
効率性向上の機会
Copilotはエンジニア以外の人が苦手とする関数の引数設計と構文エラーの回避において、極めて高い効率性を発揮します。これにより、関数の知識レベルに関係なく高度な集計が可能になります。
具体的には、以下の効率化が期待できます。
- 関数リファレンスの検索時間の削減
- 引数の順序や記述方法の学習時間の低減
- 試行錯誤の時間削減
検証の必要性とリスク
Copilotが生成した数式は常に論理的に正しいとは限りません。特にプロンプトが曖昧な場合や、データ構造が複雑な場合、意図しない結果となる可能性があります。
生成された数式は必ず、少数のサンプルデータで手動計算の結果と比較し、ロジックが業務要件を満たしているか検証することが不可欠です。
検証時の確認項目は以下の通りです。
- 条件指定が業務ルールと一致しているか
- 計算結果が既知のサンプルと整合するか
- エラー処理が適切に機能しているか
- 参照範囲が意図した範囲を正確に含んでいるか
Copilotはツールであり、判断の主体は利用者です。生成された数式の妥当性を評価し、業務に適用する責任は、最終的に利用者が負います。この原則を理解した上で、Copilotを効率化の手段として活用することが適切な運用となります。