Excel VLOOKUP関数:表から検索値に対応するデータを取得する
VLOOKUP関数は、Excelにおいてセルの値を検索する多機能な関数であり、Excel中級者への道標とも言える存在です。しかし、最新のExcelバージョンでは、より強力なXLOOKUP関数が導入されました。
XLOOKUP関数の特徴:
- VLOOKUP及びHLOOKUP関数の機能を統合
- VLOOKUP関数の多くの制限事項を解消
- より柔軟で効率的な検索が可能
新しいバージョンのExcelを使用している場合、XLOOKUP関数への移行を検討することをお勧めします。これにより、データ分析や表の操作がより簡単かつ効率的になり、作業効率が向上します。
ただし、古いバージョンのExcelとの互換性や、他のユーザーとのファイル共有を考慮する必要がある場合は、状況に応じて適切な関数を選択してください。
XLOOKUP関数の利点を活かしつつ、必要に応じてVLOOKUP関数の知識も維持することで、様々な状況に対応できる柔軟なExcelスキルを身につけることができます。

使用例
VLOOKUPの最も一般的な用途は、コードを使用して台帳データと照合し、商品名や価格などの関連情報を自動的に検索・表示することです。この機能により、手動入力によるミスを大幅に削減できます。
具体例: 下記の表では、F列のコードをB列から検索し、対応する商品名(C列)と価格(D列)を自動的に表示しています。これにより、データ入力の正確性と効率が向上します。

仕様
=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)
引数 | 省略時の値 | 説明 |
---|---|---|
検索値 | 省略不可 | 検索する値(検索キー)を指定します。 |
範囲 | 省略不可 | 検索値を探す列(左端)~結果を取得する列を指定。 |
列番号 | 省略不可 | 検索結果を表示する列を指定。範囲の一番左を1としたときの連番。 |
検索の型 | TRUE | 検索の方法を指定します。 ・FALSE:完全一致検索 ・TRUE:近似一致検索 |
引数の説明
検索値
検索する値(検索キー)を指定します。
指定方法
- セル参照(例:A1)
- 直接入力された値(例:"ABC123"、100)
- 他の関数の結果
重要なポイント
- この引数は、検索対象の範囲内で一致または近似一致を探す基準となります。
- 今回の例では、F列(コード)を指定しています。
推奨事項
オートフィルやコピー&ペーストを使用する場合、F列の指定を絶対参照($)で固定することをお勧めします。
例: =VLOOKUP($F2, $B:$D, 2, FALSE)
この形式では、F列の行は相対参照のままで、列のみ固定されています。これにより、関数を下方向にコピーしても正しく動作します。

複数の結果を表示したい場合
比較演算子は使用できませんが、ワイルドカードを利用したあいまい検索なら可能です。
ワイルドカード使用例(検索の型がFALSEの場合のみ):
- 前方一致:「ABC*」
- 後方一致:「*ABC」
- 部分一致:「*ABC*」
VLOOKUP関数は基本的に1つのセルを検索する機能です。
複数の検索結果を表示する必要がある場合、この関数は適していません。
複数の結果が必要な場合は、以下の方法を検討してください。
- 他の関数との組み合わせ
- FILTER関数の使用(より柔軟な検索と複数結果の表示が可能)
範囲
検索範囲を指定します。この範囲には以下の列が含まれる必要があります。
- 検索値を探す列(最左列)
- 結果を取得する列(1つまたは複数)
指定方法
- セル範囲(例:$B1:$D100)
- 名前付き範囲
- テーブル名
重要なポイント
- 検索列(最左列)は必ず含める (一番左の列以外を検索したい場合の対処法)
- 必要なデータ列をすべて含める
例のように「コード」で検索する場合、範囲の一番左を「コード」にします。
なおXLOOKUP関数ではその点が改善されており、一番左でなくても検索できるようになっています。
もし数式を複数セルにコピーする場合、セル指定するよりも名前を付けた範囲か、列指定のみ絶対参照$で固定します。
列番号
結果として取得する項目です。
指定方法
- 数値で指定(整数のみ)
- 範囲の最左列を1とした連番で指定
重要なポイント
- 最小値は1(最左列)
- 最大値はテーブル配列の列数
- 検索列(最左列)よりも右の列を指定する。
例: テーブル配列が A1:D100 の場合 1 = A列(検索列) 2 = B列 3 = C列 4 = D列
注意: 列番号が範囲外の場合、#REF!エラーが返されます。
今回の例では1でコード、2で商品名、3で価格です。
XLOOKUP関数との比較
- XLOOKUP関数では番号ではなくセル範囲(戻り範囲)を指定します。
- 絶対参照($)も可能で、より柔軟な使用が可能です。
- 検索結果に画像を使用することもできるようになりました。
検索の型
検索の方法を指定します。
指定方法
- FALSE:完全一致検索。検索キーと完全に一致する値のみを返します。 一致するものがない場合は #N/A エラーとなります。 多くの場合、これを使用します。
- TRUE:(デフォルト)近似一致検索。検索キーと等しいか、それより小さい最大の値を返します。検索列が昇順にソートされている必要があります。
使用例 「S006」で検索した場合
- FALSE:完全一致しないため、HIT しません(#N/A エラー)
- TRUE:「S005」の「鯛」が HIT します


重要なポイント
- TRUE が省略値(デフォルト)となっています。
これは VLOOKUP関数の初心者にとって混乱の原因となることがあります。
XLOOKUP関数では、FALSE に相当するオプションがデフォルトとなっています。
この変更は、使いやすさの面で大きな改善となっています。
一致するものがない場合の対応
検索結果が存在しない場合、#N/Aエラーが返されます。 このエラーは他の式に悪影響を及ぼす可能性があります。
影響の程度
表示のみの問題であれば、重大な影響は少ないです。 ただし、資料としての品質を考慮すると、エラーの残存は好ましくありません。
推奨される対処法
VLOOKUP関数の結果に対して、以下のような関数を組み合わせて使用します。
IFERROR関数
例:=IFERROR(VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, FALSE), "該当なし")
IFNA関数(Excel 2013以降)
例:=IFNA(VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, FALSE), "該当なし")
XLOOKUP関数での改善点
XLOOKUP関数では、「見つからない場合」の引数が用意されています。
これにより、エラー処理がより簡単になりました。
例:=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値の範囲, "該当なし")
対処の重要性
- エラー処理は、データの可読性と信頼性を高めます。
- 後続の計算やデータ分析の正確性を確保します。
スピル
スピルの概要
- Office 365やExcel 2019以降で利用可能
- 複数セルに数式をコピーする際に便利な機能
スピルの利用方法
- VLOOKUP関数の第1引数(検索値)を複数セルの範囲で指定
- 数式は最初の1セルにのみ入力
指定した範囲の高さ分、数式が自動的に拡大されます。
具体例
G3セルにのみ数式を入力します。G4以降へのコピー&ペーストが不要です。


スピル利用のメリット
入力作業の効率化
- 数式入力の手間が大幅に削減(特に多数のセルで効果大
- 数式編集時のコピー忘れリスクを排除
参照設定の簡素化
- 絶対参照($)が不要
- データ操作時の安定性向上
- 行の追加時に数式のコピー&ペーストが不要
- 行の削除時も数式が壊れにくい
注意点
自動拡張された範囲内に他のデータがある場合、エラーが発生する可能性あります。
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