Excel VLOOKUP関数:表から検索値に対応するデータを取得する

2024年8月20日

English version.

VLOOKUP関数は、Excelにおいてセルの値を検索する多機能な関数であり、Excel中級者への道標とも言える存在です。しかし、最新のExcelバージョンでは、より強力なXLOOKUP関数が導入されました。

XLOOKUP関数の特徴:

  1. VLOOKUP及びHLOOKUP関数の機能を統合
  2. VLOOKUP関数の多くの制限事項を解消
  3. より柔軟で効率的な検索が可能

新しいバージョンのExcelを使用している場合、XLOOKUP関数への移行を検討することをお勧めします。これにより、データ分析や表の操作がより簡単かつ効率的になり、作業効率が向上します。

ただし、古いバージョンのExcelとの互換性や、他のユーザーとのファイル共有を考慮する必要がある場合は、状況に応じて適切な関数を選択してください。

XLOOKUP関数の利点を活かしつつ、必要に応じてVLOOKUP関数の知識も維持することで、様々な状況に対応できる柔軟なExcelスキルを身につけることができます。

使用例

VLOOKUPの最も一般的な用途は、コードを使用して台帳データと照合し、商品名や価格などの関連情報を自動的に検索・表示することです。この機能により、手動入力によるミスを大幅に削減できます。

具体例: 下記の表では、F列のコードをB列から検索し、対応する商品名(C列)と価格(D列)を自動的に表示しています。これにより、データ入力の正確性と効率が向上します。

VLOOKUP関数の基本的な使用例
VLOOKUP関数の基本的な使用例

仕様

=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)
引数省略時の値説明
検索値省略不可検索する値(検索キー)を指定します。
範囲省略不可検索値を探す列(左端)~結果を取得する列を指定。
列番号省略不可検索結果を表示する列を指定。範囲の一番左を1としたときの連番。
検索の型TRUE検索の方法を指定します。
・FALSE:完全一致検索
・TRUE:近似一致検索
各引数の詳細

引数の説明

検索値

検索する値(検索キー)を指定します。

指定方法
  • セル参照(例:A1)
  • 直接入力された値(例:"ABC123"、100)
  • 他の関数の結果
重要なポイント
  • この引数は、検索対象の範囲内で一致または近似一致を探す基準となります。
  • 今回の例では、F列(コード)を指定しています。
推奨事項

オートフィルコピー&ペーストを使用する場合、F列の指定を絶対参照($)で固定することをお勧めします。

例: =VLOOKUP($F2, $B:$D, 2, FALSE)

この形式では、F列の行は相対参照のままで、列のみ固定されています。これにより、関数を下方向にコピーしても正しく動作します。

VLOOKUP関数の基本的な使用例
VLOOKUP関数の基本的な使用例
複数の結果を表示したい場合

比較演算子は使用できませんが、ワイルドカードを利用したあいまい検索なら可能です。

ワイルドカード使用例(検索の型がFALSEの場合のみ):

  • 前方一致:「ABC*」
  • 後方一致:「*ABC」
  • 部分一致:「*ABC*」

VLOOKUP関数は基本的に1つのセルを検索する機能です。

複数の検索結果を表示する必要がある場合、この関数は適していません。

複数の結果が必要な場合は、以下の方法を検討してください。

  1. 他の関数との組み合わせ
  2. FILTER関数の使用(より柔軟な検索と複数結果の表示が可能)

範囲

検索範囲を指定します。この範囲には以下の列が含まれる必要があります。

  • 検索値を探す列(最左列)
  • 結果を取得する列(1つまたは複数)
指定方法
重要なポイント

例のように「コード」で検索する場合、範囲の一番左を「コード」にします。

なおXLOOKUP関数ではその点が改善されており、一番左でなくても検索できるようになっています。

もし数式を複数セルにコピーする場合、セル指定するよりも名前を付けた範囲か、列指定のみ絶対参照$で固定します。

列番号

結果として取得する項目です。

指定方法
  • 数値で指定(整数のみ)
  • 範囲の最左列を1とした連番で指定
重要なポイント
  • 最小値は1(最左列)
  • 最大値はテーブル配列の列数
  • 検索列(最左列)よりも右の列を指定する。
    例: テーブル配列が A1:D100 の場合 1 = A列(検索列) 2 = B列 3 = C列 4 = D列
    注意: 列番号が範囲外の場合、#REF!エラーが返されます。

今回の例では1でコード、2で商品名、3で価格です。

XLOOKUP関数との比較

検索の型

検索の方法を指定します。

指定方法
  • FALSE:完全一致検索。検索キーと完全に一致する値のみを返します。 一致するものがない場合は #N/A エラーとなります。 多くの場合、これを使用します。
  • TRUE:(デフォルト)近似一致検索。検索キーと等しいか、それより小さい最大の値を返します。検索列が昇順にソートされている必要があります。

使用例 「S006」で検索した場合

  • FALSE:完全一致しないため、HIT しません(#N/A エラー)
  • TRUE:「S005」の「鯛」が HIT します
検索の型:FALSE
検索の型:TRUE
重要なポイント
  • TRUE が省略値(デフォルト)となっています。

これは VLOOKUP関数の初心者にとって混乱の原因となることがあります。

XLOOKUP関数では、FALSE に相当するオプションがデフォルトとなっています。

この変更は、使いやすさの面で大きな改善となっています。

一致するものがない場合の対応

検索結果が存在しない場合、#N/Aエラーが返されます。 このエラーは他の式に悪影響を及ぼす可能性があります。

影響の程度

表示のみの問題であれば、重大な影響は少ないです。 ただし、資料としての品質を考慮すると、エラーの残存は好ましくありません。

推奨される対処法

VLOOKUP関数の結果に対して、以下のような関数を組み合わせて使用します。

IFERROR関数
例:=IFERROR(VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, FALSE), "該当なし") 
IFNA関数(Excel 2013以降)
例:=IFNA(VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, FALSE), "該当なし")

XLOOKUP関数での改善点

XLOOKUP関数では、「見つからない場合」の引数が用意されています。

これにより、エラー処理がより簡単になりました。

例:=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値の範囲, "該当なし")

対処の重要性

  • エラー処理は、データの可読性と信頼性を高めます。
  • 後続の計算やデータ分析の正確性を確保します。

スピル

スピルの概要

  • Office 365やExcel 2019以降で利用可能
  • 複数セルに数式をコピーする際に便利な機能

スピルの利用方法

  • VLOOKUP関数の第1引数(検索値)を複数セルの範囲で指定
  • 数式は最初の1セルにのみ入力

指定した範囲の高さ分、数式が自動的に拡大されます。

具体例

G3セルにのみ数式を入力します。G4以降へのコピー&ペーストが不要です。

スピルでVLOOKUP関数を記述する例
スピルでVLOOKUP関数を記述する例
G3に指定したVLOOKUP関数がG5まで自動拡大

スピル利用のメリット

入力作業の効率化
  • 数式入力の手間が大幅に削減(特に多数のセルで効果大
  • 数式編集時のコピー忘れリスクを排除
参照設定の簡素化
  • 絶対参照($)が不要
  • データ操作時の安定性向上
  • 行の追加時に数式のコピー&ペーストが不要
  • 行の削除時も数式が壊れにくい

注意点

自動拡張された範囲内に他のデータがある場合、エラーが発生する可能性あります。

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