ExcelのIF関数で「〇〇以上かつ〇〇未満」を指定する方法|AND関数とIFS関数の使い分け

2025年12月25日

はじめに

「50点以上、80点未満の人だけを抽出したい」——そんなとき、数学の書き方をそのまま使って =IF(50<=A1<=80... と入力していませんか。残念ながら、この書き方ではExcelは正しく動作しません。

Excelで「〇〇以上かつ〇〇未満」のような範囲指定を行うには、AND関数またはIFS関数を組み合わせる必要があります。

結論から言えば、使い分けは以下のとおりです。

方法適切な場面
IF関数 + AND関数「〇」か「×」など、結果が2つの場合
IFS関数ランク付けのように、結果が3つ以上ある場合

この記事では、それぞれの数式の組み方と使い分けのポイントを解説します。

概要解説動画

※要約を抜粋した動画(朗読版)です。声優・井上喜久子さんの声を元にしたAI音声(桜乃そら)を使用しており、ラジオのように聞きやすく、優しい声で聞き流せます。

なぜIF関数だけでは「範囲指定」ができないのか

数学では「50 ≤ x < 80」のように、一つの式で範囲を表現できます。しかし、Excelでは比較演算子を連続して使うことができません。

=IF(50<=A1<=80, "〇", "×")  ← これは意図どおりに動作しません

Excelが理解できるのは、「A1は50以上か?」「A1は80未満か?」といった一つずつの条件です。そのため、複数の条件を同時に満たすかどうかを判定するには、AND関数を使って条件を束ねる必要があります。

【基本】特定の範囲だけ判定する(IF関数 × AND関数)

結果が「合格/不合格」「対象/対象外」のように2パターンだけの場合は、IF関数AND関数の組み合わせが適しています。

数式の例

50点以上80点未満なら「〇」、それ以外は空白にする場合の数式は以下のとおりです。

=IF(AND(得点>=50, 得点<80), "〇", "")

数式の構造

この数式は、次のような構造になっています。

  1. AND関数で2つの条件を束ねる
    • 得点>=50(50点以上)
    • 得点<80(80点未満)
  2. IF関数で判定結果を振り分ける
    • 両方の条件を満たす → 「〇」を表示
    • どちらか一方でも満たさない → 空白を表示

AND関数は、すべての条件がTRUE(真)のときだけTRUEを返します。そのため、「〇〇以上かつ〇〇未満」という範囲指定が実現できます。

【応用】複数のランクに分ける(IFS関数)

「A判定、B判定、C判定、再テスト」のように、結果が3つ以上ある場合はIFS関数が適しています。

IF関数の入れ子(ネスト)の問題点

IF関数だけでも複数の条件分岐は可能です。しかし、次のように入れ子にすると、数式が長く複雑になります。

=IF(得点>=80, "A", IF(得点>=60, "B", IF(得点>=40, "C", "再テスト")))

この書き方には以下の問題があります。

  • カッコの対応が分かりにくい
  • 条件を追加・修正するとき、ミスが起きやすい
  • 他の人が見たとき、意図を理解しづらい

IFS関数を使ったシンプルな書き方

IFS関数を使えば、条件と結果のペアを左から順に並べるだけで済みます。

=IFS(得点>=80, "A", 得点>=60, "B", 得点>=40, "C", TRUE, "再テスト")

対応する得点とランクの関係は以下のとおりです。

得点ランク
80以上A
60以上B
40以上C
39以下再テスト

IFS関数を使う際の注意点

IFS関数記述した順番に条件を評価します。最初に該当した条件の結果が返されるため、条件の記述順序が重要です。

上記の例では「以上(>=)」で判定しているため、大きい数値から順に記述しています。もし「40点以上」を先に書いてしまうと、80点の人も「40点以上」に該当するため、誤って「C」と判定されてしまいます。

基本ルール: 判定の方向に応じて順序を決めてください。

  • >=(以上)や >(超)で判定 → 大きい数値から順に記述
  • <=(以下)や <(未満)で判定 → 小さい数値から順に記述

また、最後の TRUE, "再テスト" は「どの条件にも該当しない場合」の処理です。IFS関数では、すべての条件がFALSEのときN/Aエラーになるため、この記述を忘れないようにしてください。

よくある疑問とトラブルシューティング

「以上・以下」と「超・未満」の違い

比較演算子の使い分けで、判定結果が1つズレることがあります。

演算子意味例(基準値: 80)
>=以上(基準値を含む)80, 81, 82...
> 超(基準値を含まない)81, 82, 83...
<=以下(基準値を含む)80, 79, 78...
< 未満(基準値を含まない)79, 78, 77...

「80点以上」と「80点超」では、ちょうど80点の人の扱いが変わります。業務要件に合わせて、正しい演算子を選択してください。

IFS関数がエラーになる場合

IFS関数はExcel 2019以降、またはMicrosoft 365で使用できます。Excel 2016以前のバージョンでは、この関数は利用できません。

古いバージョンのExcelを使用している場合は、IF関数の入れ子で対応する必要があります。

【上級者向け】補足:LET関数でセル参照をまとめる

もしMicrosoft365や最新のExcelを使っているなら、こんな便利な書き方もあります

IFS関数IF関数AND関数を組み合わせた数式では、同じセル参照を複数回記述することになります。これをLET関数で変数として定義する方法もあります。

=LET(
  点数, A2,
  IFS(点数>=80, "A", 点数>=60, "B", 点数>=40, "C", TRUE, "再テスト")
)

ただし、単純なセル参照ではLET関数を使うメリットは限定的です。以下のような場合に検討してください。

  • 数式の意味を明確にしたい場合: 「A2」ではなく「点数」と記述することで、数式が何を判定しているか第三者にも伝わりやすくなる
  • 参照先の変更が頻繁な場合: 変数定義を1箇所変更するだけで済むため、修正漏れを防げる

単純な数式であればLET関数を使わない形でも問題ありません。

まとめ

Excelで「〇〇以上かつ〇〇未満」の範囲指定を行う方法は2つあります。

用途に応じて使い分けることで、数式の可読性が向上し、後から修正する際のミスも減らせます。特にIFS関数は、条件を順番に並べるだけで済むため、複雑な判定ロジックを扱う場面で有効です。

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