Excel 数式の結果に任意の名前を付ける (LET関数)

2020年10月28日

LET関数は2020年9月にMicrosoft365(Office365)のExcelに追加された新機能で、

数式を読みやすくしたりブックの計算速度を改善するための関数です。

何らかのプログラミング言語やマクロの経験者の方には、

数式に変数を利用できるようになったと考えると理解しやすいでしょう。

この記事では、その仕様と使い方を紹介します。

仕様

=LET(名前1,値1, ~ 名前126,値126,数式)
引数省略時の値説明
名前1~126省略不可任意の命名を行います。
数字以外で始まる必要があります。
名前と値のセットは最低1つ指定する必要があります。
2以降は126まで指定可能です。
値1~126省略不可名前に対応する内容を指定します。
数値、文字列、数式のどれでも構いません。
数式省略不可最後(奇数個め)の引数が、
これまで定義した名前を使用する数式になります。
引数の詳細

使い方

使用例

基本ケース

単純な使用例です。引数は以下の通りです。

=LET(a,25,a)
引数設定値
名前1a
値125
数式a

最後の数式でaという名前が25として扱われます。aは文字列ではないので"は付けません。

範囲に名前を付けるのと似たような扱い)

単純な使用例

値に文字列

値には"で囲めば文字列も指定可能です。

=LET(a,"ABC",a)
引数設定値
名前1a
値1“ABC"
数式a
値に文字列

複数の名前を定義

複数の名前を定義するパターンです。

数式が長くなる場合は、名前と値のセット毎にセル内改行すると読みやすくなります。

また値2~126には、より左側で既に定義した名前を使用可能です。

=LET(
  a,3,
  b,a+2,
  a+b
)
引数設定値
名前1a
値13
名前2b
値2a+2
数式a+b

この場合、a=3、b=5で結果が8になります。

複数の名前を定義

注意点

LET関数は有用な関数ですが新しい関数で知られておらず、

これまでのExcelの数式とは性質がかなり異なる関数です。

よって他の人が数式を見る可能性がある場合はLET関数について

試用を共有しておく方が良いでしょう。(自分だけが使うブックであれば不要)

またExcelの更新状況によっては反映されておらず、

Microsoft365(Office365)のExcelでのみ使用可能な点も考慮する必要があります。

LET関数が有効なケース

意図なく使用すると数式が理解しにくくなってしまうため適切かを判断する必要があります。

同一の数式を複数回指定(冗長な数式)

例えば以下の数式ではVLOOKUP関数の指定が2つ冗長になっています。

VLOOKUP関数で結果が0になる場合の対処方法の例)

=IF(VLOOKUP(C2,B6:C8,2,FALSE)="","",VLOOKUP(C2,B6:C8,2,FALSE))

このような場合は以下のようにすると重複を除外して改善可能です。

=LET(vl,VLOOKUP(C2,B6:C8,2,FALSE),IF(vl="","",vl))

同一の数式を一つの名前にまとめることが出来るので、

関数を変更する際に1だけで変えて、他の同一部分を変え忘れるようなことがなくなります。

単純なセル参照でも同じ場所への参照が多量にあれば効果があります。

これは中間セルを作って数式を省略するようなケースでも有効です。

また計算結果を格納するため関数の実行が1回で済むようになり計算速度が向上します。

(例では2回のVLOOKUP関数実行が1回で済む)

FIND関数XLOOKUP関数、VLOOKUP関数のような動作の重くなりがちな関数を

大量にコピーしている場合は特に計算速度の改善効果が高くなります。

数式が重いブックの場合、こちらと合わせてLET関数が改善のための検討候補になるでしょう。

複雑な数式を簡略化

複雑に入り組んだ数式を一定のかたまりで名前を付けて

簡略化することも有効です。(読みやすいかは命名や個人差あり)

特定の文字列以前・以降・間の文字を抽出する例では

重複除外と合わせて以下のように利用可能です。

C列の文字ととD列の文字の間の文字をMID関数で文字列を切り出すのがメインですが、

切り出し位置を決めるためにFIND関数LEN関数が入り組んでいます。

また重複した数式も存在します。(背景色で色付けしている個所)

=MID(B3,FIND(C3,B3)+LEN(C3),FIND(D3,B3)-FIND(C3,B3)LEN(C3))

〇〇と△△の間を抽出するキャプチャ

まず重複除外のみを行うと以下のようになります。

=LET( 
  前文字の開始位置,FIND(C3,B3), 
  前文字数,LEN(C3), 
  MID(B3,前文字の開始位置+前文字数,FIND(D3,B3)-前文字の開始位置-前文字数)
)

意味のある数式のかたまりに名前を付けて明確にすると以下のようになります。

=LET( 
  前文字の開始位置,FIND(C3,B3),
  前文字数,LEN(C3),
  切り出しの開始位置,前文字の開始位置+前文字数,
  切り出しの終了位置,FIND(D3,B3)-前文字の開始位置-前文字数,
  MID(B3,切り出しの開始位置,切り出しの終了位置)
)

これによりMID関数の数式の構造が明確になります。

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