【Excel初心者向け】HOUR関数とピボットテーブルで時間帯別に集計する方法

Excelで時間帯ごとの傾向を分析したいと思ったことはありませんか?例えば、店舗の売上データを時間帯別に集計して、「何時頃に一番お客様が多いのか」を知りたい場合など、時間データの分析は業務改善に役立ちます。
今回はExcel初心者の方でも簡単に使える「HOUR関数」を使って、時間帯別の集計方法をご紹介します。事務作業の効率化にきっと役立つはずです。
HOUR関数とは?基本を理解しよう
HOUR関数は、日付と時刻が入力されたセルから「時間」の部分だけを取り出す関数です。例えば「2024/04/25 14:30:00」という日時データから「14」という時間の数値だけを取り出すことができます。
シンプルに言うと、「何時」の部分だけを抽出する機能と考えてください。朝9時も夜9時も「9」という数字で表されるため、時間帯の傾向を調べるのに便利です。
HOUR関数の使い方
基本的な書式
=HOUR(シリアル値)
「シリアル値」とは、ExcelでのDateTime(日付と時刻)の形式のことです。難しく聞こえますが、例えば、"2024/04/25 14:30"のような日付や時刻が入力されているセルを指します。
具体例で理解する
例えば、A1セルに「2024/04/25 14:30:00」という値が入っている場合:
=HOUR(A1)
と入力すると、結果は「14」になります。つまり、「14時台」ということがわかります。

実践!時間帯別データの集計手順
実際に店舗の売上データを使って、時間帯別の集計をしてみましょう。以下の手順で簡単に集計できます。同じ時間帯に複数の売上がある場合でも、きちんと集計することができます。
ステップ1:データを準備する
まずは分析したいデータを用意します。例えば下記のような店舗の売上データがあるとします。
購入日時 | 商品名 | 金額 |
2024/04/25 09:15:00 | コーヒー | 350 |
2024/04/25 09:30:00 | パン | 250 |
2024/04/25 09:45:00 | サンドイッチ | 450 |
2024/04/25 10:15:00 | コーヒー | 350 |
2024/04/25 10:30:00 | ケーキ | 500 |
2024/04/25 12:15:00 | ランチセット | 850 |
2024/04/25 12:30:00 | ランチセット | 850 |
2024/04/25 12:45:00 | ランチセット | 850 |
2024/04/25 14:20:00 | コーヒー | 350 |
2024/04/25 14:35:00 | ケーキ | 500 |
2024/04/25 17:05:00 | サンドイッチ | 450 |
2024/04/25 17:20:00 | コーヒー | 350 |
ステップ2:HOUR関数で時間を抽出する
新しい列(例:D列)に「時間帯」という見出しを作り、HOUR関数を使って時間だけを抽出します。
D2セルに以下の数式を入力します:
=HOUR(A2)
この数式をD13セルまでコピーします。すると、各行の時間帯が表示されます(一部抜粋):
購入日時 | 商品名 | 金額 | 時間帯 |
2024/04/25 09:15:00 | コーヒー | 350 | 9 |
2024/04/25 09:30:00 | パン | 250 | 9 |
2024/04/25 09:45:00 | サンドイッチ | 450 | 9 |
2024/04/25 10:15:00 | コーヒー | 350 | 10 |
... | ... | ... | ... |
2024/04/25 17:20:00 | コーヒー | 350 | 17 |
ステップ3:ピボットテーブルで時間帯別に集計する
次に、ピボットテーブルを使って時間帯別の集計を行います。
- データ範囲(A1:D13)を選択します
- 「挿入」タブから「ピボットテーブル」をクリックします
- 「新規ワークシート」を選び、「OK」をクリックします
- ピボットテーブルのフィールドリストから:
- 「時間帯」を「行ラベル」エリアにドラッグ
- 「金額」を「値」エリアにドラッグ
- 「金額」を「値」エリアにドラッグした後、「値フィールドの設定」で「合計」が選ばれていることを確認しましょう。



これで時間帯別の売上合計が表示されます。例えば、このデータでは次のようなピボットテーブルが作成されます:
時間帯 | 合計金額 |
9 | 1,050 |
10 | 850 |
12 | 2,550 |
14 | 850 |
17 | 800 |
総計 | 6,100 |
これにより、12時台(昼食時)の売上が最も多いことが一目でわかります。
時間帯別グラフの作成方法
集計したデータを視覚的に分かりやすくするために、グラフを作成しましょう。
グラフ作成手順
- 作成したピボットテーブルを選択します
- 「挿入」タブから「縦棒グラフ」を選択します
- 適切なグラフタイプ(例:集合縦棒)をクリックします

これで下記のような時間帯別の売上グラフが完成します。

活用例:業務での応用方法
HOUR関数を使った時間帯別集計は、様々なシーンで活用できます。
店舗経営での活用
- 繁忙時間帯の特定: 時間帯別の来客数を集計し、スタッフ配置の最適化に活用
- 商品別の売れる時間帯分析: 商品ごとに売れる時間帯を分析し、在庫管理や販促計画に活用
- 曜日×時間帯のクロス分析: 曜日と時間帯を組み合わせた分析で、より詳細な傾向把握
事務業務での活用
- 問い合わせ対応の最適化: 問い合わせが多い時間帯を特定し、人員配置を最適化
- システム利用状況の分析: 社内システムのアクセスログから利用時間帯を分析
- 残業時間の傾向分析: 残業が多くなる時間帯や曜日を特定し、業務改善に活用
よくある質問
Q1: HOUR関数で抽出できるのは0〜23の数値ですか?
A: はい、HOUR関数では0〜23の整数値が返されます。0は深夜0時(午前0時)、12は正午、23は午後11時を表します。
Q2: 日付のないセル(時刻のみのセル)にもHOUR関数は使えますか?
A: はい、使えます。Excelでは時刻のみのデータも内部的には日付と時刻を持つシリアル値として処理されているため、HOUR関数数が正常に機能します。
Q3: 「9時台」「10時台」など、時間帯の表記を変更するにはどうすればいいですか?
A: HOUR関数の結果に対して、以下のような数式を使うことで表記を変更できます:
=HOUR(A2)&"時台"
これにより「9時台」「10時台」のような表記になります。
Q4: 時間帯をグループ化(例:午前・午後、朝・昼・夜など)するにはどうすればいいですか?
A: HOUR関数の結果にIF関数やIFS関数を組み合わせることでグループ化できます。
IF関数でグループ化する例:
=IF(HOUR(A2)<12,"午前","午後")
または、より細かく分けるなら:
=IF(HOUR(A2)<6,"深夜",IF(HOUR(A2)<12,"午前",IF(HOUR(A2)<18,"午後","夜")))
詳しくはIF関数の基本的な使い方の記事もご参照ください。
IFS関数でグループ化する例(Excel 2019以降):
=IFS(HOUR(A2)<6,"深夜",HOUR(A2)<12,"午前",HOUR(A2)<18,"午後",HOUR(A2)<=23,"夜")
IFS関数の方がIF関数のネストよりも書き方がシンプルで、条件と結果が対になっているため理解しやすいメリットがあります。
IFS関数の詳細については複数の条件を指定できるIFS関数の使い方の記事もご参照ください。
Q5: 時間帯別集計にHOUR関数以外の方法はありますか?
A: はい、ピボットテーブルのグループ化機能を使う方法もあります。日時データを含む列をピボットテーブルの行ラベルに配置し、右クリックで「グループ化」を選択。「時間」を選ぶと自動的に時間帯でグループ化されます。
まとめ
HOUR関数を使えば、Excel初心者の方でも簡単に時間帯別の集計ができることがわかりました。基本的な手順は:
- HOUR関数で日時データから「時間」部分を抽出する
- 抽出した時間データを使ってピボットテーブルで集計する
- 集計結果をグラフ化して視覚的に分析する
この方法を活用すれば、店舗の売上分析や業務効率の改善など、様々なシーンで時間帯別の傾向を把握できます。ぜひご自身のデータで試してみてください。
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