【Excel初心者向け】VLOOKUP関数で#N/Aエラーを解決する3つの簡単な方法

2025年5月1日

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はじめに

Excelの#N/Aエラーに困っている人

Excelで作業中「#N/A」というエラーメッセージを見たことはありませんか?

特にVLOOKUP関数を使っている時によく発生するこのエラー、実は簡単に解決できます。

例えば、このような状況でお困りの方は多いはず:

  • 請求書や売上表でデータを検索しようとしたらエラーになった
  • 別シートの情報を参照する時に「#N/A」が表示されてしまう
  • エラーが出ると計算結果全体が使えなくなってしまう

この記事では、Excel初心者の方でも理解できるよう、VLOOKUP関数での#N/Aエラーの原因と、3つの簡単な解決方法を紹介します。

VLOOKUP関数と#N/Aエラーとは?

VLOOKUP関数の基本

VLOOKUP関数は「検索したい値」をもとに、表から情報を探し出す便利な関数です。例えば、社員番号から社員名を調べたり、商品コードから価格を自動で表示したりできます。

VLOOKUP関数の基本形はこのようになっています:

=VLOOKUP(検索値, 検索範囲, 列番号, 検索方法)
  • 検索値:探したいデータ(例:社員番号「A001」)
  • 検索範囲:データが入っている表全体
  • 列番号:取り出したい情報が何列目にあるか
  • 検索方法:TRUE(あいまい検索)かFALSE(完全一致検索)

検索方法に`FALSE` を指定すると完全に一致する値だけを検索します。実務では `FALSE` を使うことが多いですが、`TRUE`(あいまい検索)の使い方や注意点など、VLOOKUP関数の詳しい使い方については、下の記事も参考にしてください。

#N/Aエラーが発生する原因

VLOOKUP関数を使っていて「#N/A」エラーが出る主な理由は、検索した値が見つからないときです。特に完全一致検索(第4引数にFALSEを指定)の場合に発生しやすいです。

VLOOKUP関数で検索値が見つからず#N/Aエラーが表示されている様子
VLOOKUP関数で検索値が見つからず#N/Aエラーが表示されている様子

さらに問題なのは、このエラーが波及してしまうこと。#N/Aを含むセルを使って計算すると、その計算結果もすべて#N/Aになってしまいます。

これにより、例えば売上の合計金額が正しく計算できなかったり、データをもとにグラフを作成できなかったりと、後続の作業に影響が出てしまいます。

#N/Aエラーが波及して計算結果全体がエラーになっている様子
N/Aエラーが波及して計算結果全体がエラーになっている様子

#N/Aエラーを解決する3つの方法

それでは、実際に#N/Aエラーを解決する3つの方法を見ていきましょう。Excel初心者の方でも簡単に実践できるよう、ステップバイステップで説明します。

方法1:IFERROR関数を使う(どんなエラーにも対応)

IFERROR関数は、エラーが発生した時に別の値を表示させる関数です。「もしエラーなら○○を表示して」と指示できます。

使い方

  1. VLOOKUP関数の前に「=IFERROR(」を入力します
  2. 通常のVLOOKUP関数を入力します
  3. カンマ(,)を入力します
  4. エラー時に表示したいもの(例:0や「該当なし」など)を入力します
  5. 最後に閉じ括弧「)」を入力します

完成形

=IFERROR(VLOOKUP(G5, $C$4:$D$9, 2, FALSE), 0)
IFERROR関数でVLOOKUPエラー時に0を表示する設定例
IFERROR関数でVLOOKUPエラー時に0を表示する設定例

【補足】数式の「$」マーク(絶対参照)について

数式例の `$C$4:$D$9` にある `$` マークは「絶対参照」といい、数式をコピーしても参照範囲がずれないように固定する役割があります。 絶対参照・相対参照について、詳しくは下の記事で解説しています。

アレンジ例

エラー時の表示は目的に応じて変更できます:

  • 空白にする場合:=IFERROR(VLOOKUP(G5, $C$4:$D$9, 2, FALSE), "")
  • メッセージを表示する場合:=IFERROR(VLOOKUP(G5, $C$4:$D$9, 2, FALSE), "見つかりません")
IFERROR関数でエラー時にメッセージを表示する例
IFERROR関数でエラー時にメッセージを表示する例

エラー時の表示をどうするかは、その後のデータの使い方によって決めると良いでしょう。例えば、エラーが出たセルをさらに計算(合計など)で使いたい場合は `0` を表示させると計算が止まりません。一方、リストとして人に見せるだけであれば、空白 `""` や `"該当なし"` のようなメッセージを表示すると分かりやすいです。

方法2:IFNA関数を使う(#N/Aエラーだけに対応)

IFERROR関数はすべてのエラーに反応するため、例えば「#DIV/0!」(ゼロ除算エラー)なども置き換えてしまいます。もし#N/Aエラーだけを処理したい場合は、IFNA関数が便利です。

IFERROR関数が#DIV/0!エラーも置き換えている様子
IFERROR関数が#DIV/0!エラーも置き換えている様子

使い方

  1. VLOOKUP関数の前に「=IFNA(」を入力します
  2. 通常のVLOOKUP関数を入力します
  3. カンマ(,)を入力します
  4. #N/Aエラー時に表示したいもの(例:0や「該当なし」など)を入力します
  5. 最後に閉じ括弧「)」を入力します

完成形

=IFNA(VLOOKUP(G4, $C$4:$D$9, 2, FALSE), 0)
IFNA関数で#N/Aエラーのみを処理している様子
IFNA関数で#N/Aエラーのみを処理している様子

IFNA関数を使うと、例えば参照元のデータ自体に `#DIV/0!`(ゼロ除算エラー)のような計算エラーがあっても、それはエラーとして表示されます。#N/Aエラーだけを処理し、他の潜在的な問題を見逃さないようにしたい場合に有効です。初心者の方は、まずはIFERROR関数から始めて、慣れてきたらIFNA関数を使い分けるとよいでしょう。

方法3:XLOOKUP関数を使う(Excel 2019以降)

もし新しいバージョンのExcel(Excel 2019以降)をお使いなら、XLOOKUP関数がおすすめです。これはVLOOKUPの進化版で、エラー処理が最初から組み込まれています。

(Microsoft 365のサブスクリプション、または買い切り版のExcel 2019以降で利用可能です。古いバージョンのExcelでは使えない点にご注意ください。)

使い方

  1. 「=XLOOKUP(」と入力します
  2. 検索したい値を入力します
  3. カンマ(,)を入力します
  4. 検索する範囲(検索値が含まれる列だけ)を入力します
  5. カンマ(,)を入力します
  6. 取り出したい値がある範囲を入力します
  7. カンマ(,)を入力します
  8. 見つからなかった時に表示する値を入力します
  9. 最後に閉じ括弧「)」を入力します
XLOOKUP関数のエラー時表示設定オプション
XLOOKUP関数のエラー時表示設定オプション

完成形

=XLOOKUP(G4, $C$4:$C$9, $D$4:$D$9, 0)
XLOOKUP関数を使用して検索値が見つからない場合に0を表示する例
XLOOKUP関数を使用して検索値が見つからない場合に0を表示する例

XLOOKUPのメリット

  • VLOOKUP関数より直感的に使える
  • 左側の列からでも検索できる(VLOOKUPは左から右への検索のみ)
  • エラー処理が最初から組み込まれている
  • 検索範囲と返り値の範囲を別々に指定できる

XLOOKUP関数には、ここで紹介したエラー処理以外にも多くの便利な機能があります。詳しい使い方や他の応用例については、以下の記事で詳しく解説しています。

実践例:売上データの集計

ここでは実際の業務でよくある例として、売上データを部署ごとに集計するケースを考えてみましょう。

部署コードから部署名をVLOOKUP関数で検索し、エラー処理をした売上集計表
部署コードから部署名をVLOOKUP関数で検索し、エラー処理をした売上集計表

このような表で、部署コードから部署名を自動で表示したいとき:

=IFERROR(VLOOKUP(A2, 部署マスター!$A$2:$B$10, 2, FALSE), "未登録")

部署マスターに存在しない部署コードがあっても「未登録」と表示され、合計計算が中断されることはありません。

よくある質問

Q1: VLOOKUP関数で大文字と小文字を区別したい場合はどうすればいいですか?

A1: 標準のVLOOKUP関数では大文字と小文字を区別できません。

この問題の詳細な解決方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

Q2: #N/Aエラーを表示したまま、計算だけ正しく行う方法はありますか?

A2: AGGREGATE関数を使うと、エラーを表示したままSUMなどの計算ができます。例えば、=AGGREGATE(9, 6, A1:A10)とすると、A1:A10の範囲にあるエラーを無視して合計します。これはAGGREGATE関数の二つ目の引数を6(エラー値を無視)にしているためです。

XLOOKUP関数のエラー時表示設定オプション
XLOOKUP関数のエラー時表示設定オプション
AGGREGATE関数でエラーに対処した例
AGGREGATE関数でエラーに対処した例

まとめ

VLOOKUP関数の#N/Aエラーは、初心者の方にとって悩ましい問題ですが、今回紹介した3つの方法で簡単に解決できます:

  1. IFERROR関数 - あらゆるエラーに対応する基本的な方法
  2. IFNA関数 - #N/Aエラーのみを対象とする方法
  3. XLOOKUP関数 - 新しいExcelでより効率的に検索する方法

これらの方法を状況に応じて使い分けることで、エラーのないスマートなExcelシートを作成できます。関数を組み合わせることに最初は戸惑うかもしれませんが、少しずつ試していくことで徐々に慣れていきます。

まずは最も汎用的なIFERROR関数から、実際のデータで試してみてはいかがでしょうか。

エラー処理は一見地味ですが、プロフェッショナルなExcelシートを作るための重要なスキルです。この記事で紹介した方法を実践して、ぜひExcelスキルをワンランクアップさせてください。

今回紹介したエラー処理以外にも、VLOOKUP関数には様々な活用法があります。VLOOKUP関数の使い方を体系的に確認したい方は、以下のまとめ記事も参考にしてみてください。

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