Excel 条件付き書式を使ったデータ可視化テクニック:棒グラフや色の強弱(ヒートマップ)

2024年8月24日

Excelでデータを効果的に可視化(データビジュアライズ)する方法として、グラフ以外に条件付き書式があります。

この機能を使うと、セル内にデータの傾向や重要性を視覚的に表現できます。

本記事では、条件付き書式の3つの主要な表現方法(アイコンセット、カラースケール、データバー)について、その特徴、設定方法、適切な使用場面を詳しく解説します。

アイコンセット
アイコンセット
カラースケール(ヒートマップ)
カラースケール(ヒートマップ)
データバー
データバー

条件付き書式の表現方法比較

各表現方法には、以下のような特徴があります:

状況によって適切なものを選択します。

表現方法特徴的な箇所の発見数値の差の度合いの把握
カラースケール優れているあまり適していない
アイコンセット中程度中程度
データバーあまり適していない優れている

「特徴的な箇所の発見」と「数値の差の度合いの把握」の能力がトレードオフとなっており、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

種類と設定方法

アイコンセット

特徴

  • セルに矢印や星などのアイコンを表示
  • データの相対的な位置(大、中、小)を簡単に把握可能

データの相対的な位置づけを素早く把握するのに適しています。各セルの値が、全体の中でどの程度の水準にあるか(高い、中程度、低い)を視覚的に示すため、データの概要を瞬時に理解できます。

アイコンセットの例
アイコンセットの例

設定方法

  1. 対象範囲を選択
  2. 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「アイコンセット」を選択
  3. 適切なアイコンセットを選択(3〜5段階)
  4. 必要に応じて「ルールの管理」で閾値やアイコンの順序を調整
設定
ルールの管理

例えば月毎や地域毎など1列または1行づつ閾値を別系統にしたい場合は、それぞれ選択、設定を繰り返す必要があります。Ctrlによる分割選択や書式コピーでは同一系列にされてしまいます。

異なる基準でアイコンセットを適用する場合の注意点:

  1. 個別の列や行に対する設定: 月ごとや地域ごとなど、1列または1行ずつ異なる閾値を設定したい場合は、各列・行を個別に選択し、設定を行う必要があります。
  2. 一括設定の制限:
    • Ctrlキーを使用した複数選択や書式のコピー&ペーストでは、同一の基準が適用されてしまいます。
    • これらの方法では、列や行ごとに異なる閾値を設定することができません。
  3. 推奨される手順:
    • 各列または各行を個別に選択
    • それぞれに適した閾値やアイコンセットを設定
    • 必要に応じてこのプロセスを繰り返す

この方法により、データの特性に合わせた詳細なカスタマイズが可能になります。

カラースケール

特徴

  • セルの背景色で数値の強弱を表現
  • 異常値や極端な値の発見に最適
  • ただし、数値の度合いや差の把握には不適切
カラースケールの例
カラースケールの例

設定方法

  • 対象範囲を選択
  • 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「カラースケール」を選択
  • 好みのカラーパターンを選択
カラースケールの設定方法
カラースケールの設定方法

データバー

特徴

  • セル内に棒グラフを表示
  • 数値間の相対的な差を視覚的に把握しやすい
  • 負の値にも対応(通常と異なる色で表示)

アイコンセットやカラースケールと違い、どこが大きいか小さいかの把握は難しいですが

数値の推移やセル間でどの程度の差があるのかの把握が得意です。

カラースケールの例。負の数あり
データバーの例

設定方法

  • 対象範囲を選択
  • 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「データバー」を選択
  • 好みの色や塗りつぶしパターンを選択
データバーの設定方法
データバーの設定方法

同様な用途の機能との比較

Excelにおけるデータ可視化手法の選択ガイド:

  1. 多様な可視化オプション: Excelには数値の大小を視覚的に表現する複数の方法があり、それぞれに特徴があります。
  2. 機能別の得意分野:
    • 条件付き書式:簡易的な可視化に適し、セル内での表現が可能
    • グラフ機能:詳細な分析や複雑なデータ表現に適している
    • スパークライン:コンパクトなトレンド表示に優れている
  3. 推奨アプローチ:
    • まず条件付き書式の使用を検討する:操作が簡単で、多くのケースに対応可能
    • 条件付き書式で不十分な場合、他の機能を検討する
      • より詳細な分析や特殊な表現が必要な場合はグラフ機能を使用
      • 小さなスペースでトレンドを示したい場合はスパークラインを活用
  4. 選択の基準:
    • データの性質(時系列、カテゴリ別など)
    • 表現したい内容(傾向、比較、分布など)
    • 表示スペースの制約
    • 対象読者のデータリテラシーレベル
機能最適な場面やメリット手間
条件付き書式
・データバー
・カラースケール
・アイコンセット
多くの場合、条件付き書式が適切です。
・行・列(2次元の表)での大小を比較
・大量データの処理
・手軽さと高い表現力が必要な場合
スパークライン
・折れ線
・縦棒
・勝敗
・1次元(行)データの比較
・少量データの比較
・条件付き書式にない時系列データの表現
グラフ複雑な分析や表現が必要な場合に適しています。
・複合グラフ、レーダーチャートや散布図などグラフのみで可能な表現をしたい場合
・プレゼンテーション資料
REPT関数・旧バージョンのExcelでの使用
・他の機能が使用できない場合

スパークラインの詳細

REPT関数の詳細

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