【Excel初心者向け】条件付き書式の使い方を徹底解説。見やすい表作成で業務効率アップ

はじめに
毎日の業務でExcelを使っているものの、「同じ条件のセルだけをまとめて色付けしたい」「特定の値だけを目立たせたい」とお悩みではありませんか?
Excelには「条件付き書式」という便利な機能があります。これを使いこなすことで、データの視認性が格段に向上し、業務効率化にもつながります。
本記事では、Excel初心者の方でも簡単に使いこなせるよう、条件付き書式の基本から応用、実践例までをわかりやすく解説します。これを読めば、Excel作業をより効率的に進められるようになります。
条件付き書式とは
条件付き書式とは、指定した条件に一致するセルの表示形式(色や書式)を自動的に変更できる機能です。 たとえば「売上が50万円以上のセルを緑色に」「期限切れの日付を赤色に」など、データの中から特定の条件に合うものだけを視覚的に強調することができます。 手作業でセルの色を変えることもできますが、条件付き書式を使えば、データの内容が変わったときに自動で書式も更新されます。これにより、常に最新の状況が反映され、手作業による修正漏れや手間を大幅に削減できるのが大きな利点です。
条件付き書式のメリット
- データの傾向や例外を素早く見つけられる
- 大量のデータから重要な情報を一目で把握できる
- 手動での色付け作業(色付けなど)が自動化できる
- 定期的に更新されるデータでも、条件に応じて書式が自動で更新される
条件付き書式の基本的な使い方
条件付き書式にアクセスする方法
条件付き書式を設定するには、まず対象となるセル範囲を選択し、「ホーム」タブの「条件付き書式」ボタンをクリックします。

基本的な設定方法(ステップバイステップ)
- 書式を設定したいセル範囲を選択する
- 「ホーム」タブから「条件付き書式」をクリック
- 表示されたメニューから適用したいルールの種類を選択
- 条件と書式を設定する
- 「OK」をクリックして適用

設定したルールのクリア(削除)方法
設定した条件付き書式が不要になった場合や、間違って設定してしまった場合は、以下の手順でクリア(削除)できます。クリアには、選択したセル範囲のみを対象にする方法と、シート全体を対象にする方法があります。
特定のセル範囲のルールをクリアする場合
- ルールをクリアしたいセル範囲を選択します。
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」をクリックします。
- 表示されたメニューから「ルールのクリア」にカーソルを合わせるか、クリックします。
- サブメニューから「選択したセルからルールをクリア」をクリックします。

シート全体のルールをクリアする場合
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」をクリックします。
- 表示されたメニューから「ルールのクリア」にカーソルを合わせるか、クリックします。
- サブメニューから「シート全体からルールをクリア」をクリックします。

補足
間違ってルールをクリアしてしまった場合は、慌てずに元に戻す操作(キーボードの Ctrl + Z を押す、またはクイックアクセスツールバーの「元に戻す」ボタンをクリック)で、クリアする前の状態に戻すことが可能です。

主な条件付き書式の種類
セルの値によるルール
最も基本的な条件付き書式です。セルの値が特定の条件(より大きい、より小さい、等しいなど)を満たす場合に書式を適用します。
具体例: 売上データで50万円以上のセルを緑色に強調したい場合
- 売上データのセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「新しいルール」→「指定の値を含むセルだけを書式設定」を選択
- 「セルの値」「次の値上」「500000」を設定し、書式を「緑の塗りつぶし」に設定
- 「OK」をクリックして適用
これにより、50万円以上の売上があるセルだけが緑色で表示されるようになります。

データバー/カラースケール/アイコンセット
データバー
セルの値に比例した長さのバーがセル内に表示されます。データの大小関係を視覚的に把握するのに役立ちます。

具体例: 部署ごとの売上実績を視覚的に比較したい場合
- 売上データのセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「データバー」を選択
- お好みの色のデータバーを選択
- 「OK」をクリックして適用
カラースケール
セルの値に応じて、色のグラデーションが適用されます。たとえば、高い値は緑、低い値は赤など、データの分布を色で表現できます。

具体例: テストの点数表で高得点と低得点を区別したい場合
- 点数のセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「カラースケール」を選択
- お好みのカラースケールを選択(例:緑→黄→赤)
- 「OK」をクリックして適用
アイコンセット
セルの値に応じて、矢印や信号などのアイコンが表示されます。状況の良し悪しを直感的に理解するのに便利です。

具体例: 目標達成率を視覚的に表したい場合
- 達成率のセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「アイコンセット」を選択
- 3色の信号(赤・黄・緑)などのアイコンセットを選択
- 「OK」をクリックして適用
データバー/カラースケール/アイコンセットについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
条件付き書式の応用テクニック
複数の条件を設定する方法
一つのセル範囲に複数の条件付き書式を適用することも可能です。例えば「80点以上は緑色」「60点未満は赤色」というように、異なる条件で異なる書式を設定できます。

複数条件を設定する際は、条件の順序が重要です。Excelは上から順に条件をチェックし、最初に一致した条件の書式が適用されます。より詳しい情報はこちらの記事でご確認いただけます。
また、『条件付き書式ルールの管理』ダイアログでは、『条件を満たす場合は停止』というチェックボックスがあります。ここにチェックを入れると、そのルールが適用された場合、それより下位(リストの下にある)のルールの適用を停止できます。これにより、ルールの競合を防ぎ、意図した書式設定を確実に適用することができます。この機能を含む複数条件の詳しい設定方法については、こちらの記事で解説しています。
数式を使った高度な条件設定
条件付き書式では「数式を使用して、書式設定するセルを決定」というオプションがあります。これを使うと、より複雑な条件を設定できます。

具体例: 「今日の日付より過去の締切日」のセルを赤色にしたい場合
- 日付のセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「新しいルール」を選択
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 「=B4<TODAY()」のような数式を入力(B4は選択範囲の先頭セル)
- 「書式」ボタンをクリックし、赤色の塗りつぶしを選択
- 「OK」をクリックして適用
IF、AND、OR関数などを組み合わせることで、より複雑な条件も設定可能です。例えば「部署が営業部かつ売上が100万円以上」のセルだけを強調したい場合などに活用できます。数式を活用した期限管理の詳しい方法はこちらの記事で、IF/AND/OR関数の使い方についてはこちらの記事で解説しています。
行全体に書式を適用する方法
通常、条件付き書式はセル単位で適用されますが、工夫次第で「条件に一致するセルがある行全体」に書式を適用することも可能です。
- 表のセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「新しいルール」を選択
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 「=$D2="遅延"」のような数式を入力(D2は納期状況の先頭セル)
- 「書式」ボタンをクリックし、赤色の塗りつぶしを選択
- 「OK」をクリックして適用

これを実現するには、数式を使った条件付き書式と絶対参照($記号)を組み合わせます。例えば、D列の値が「遅延」の場合に行全体を赤色にするには、「=$D2="遅延"」という数式を使います。
ここで重要なのは$記号の使い方です。$D2の「$D」は「どの行でもD列を参照する」という意味になります。これによりA列からG列まで同じ条件が適用され、行全体に書式が適用されます。絶対参照と相対参照の詳しい使い方はこちらの記事で解説しています。
類似の例で行ごとに異なる色を交互に設定する方法については、こちらの記事でさらに詳しく説明しています。
実践的な活用例
事例1:売上データの分析
月次の売上データで、目標達成した商品を一目で把握できるようにします。

設定方法:
- 売上と目標のあるセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「新しいルール」→「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 「=$C2>=$D2」のような数式を入力(C2が売上、D2が目標の場合)
- 緑色の塗りつぶしを設定
- 「OK」をクリックして適用
事例2:スケジュール管理
プロジェクトのスケジュール表で、今日の日付から見て「完了済み」「進行中」「未着手」を色分けします。

設定方法:
- 日付のあるセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「新しいルール」を選択
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 以下のように3つのルールを設定:
- 完了済み:「=AND(B2<=TODAY(),C2="完了")」→緑色
- 遅延:「=AND(B2<TODAY(),C2<>"完了")」→赤色
- 未着手:「=AND(B2>TODAY(),C2="未着手")」→灰色
- それぞれ「OK」をクリックして適用
事例3:在庫管理
在庫数量に応じて「十分」「要注意」「緊急発注」を視覚的に表現します。

設定方法:
- 在庫数のセル範囲を選択
- 「条件付き書式」→「アイコンセット」→「3つの信号」を選択
- 「アイコンセットのルールを編集」をクリック
- 以下のように設定:
- 緑(十分):20以上
- 黄(要注意):10以上20未満
- 赤(緊急発注):10未満
- 「OK」をクリックして適用
条件付き書式のコピーと再利用
書式のコピー方法
条件付き書式は、通常のコピー&ペーストでコピーできますが、「書式のみ貼り付け」を使うとより便利です。
手順:
- 条件付き書式が設定されているセルを選択
- コピー(Ctrl+C)
- 書式を適用したいセル範囲を選択
- 右クリック→「形式を選択して貼り付け」→「書式」を選択
- 「OK」をクリックして適用
書式ルールの管理
複数の条件付き書式が設定されている場合、「条件付き書式ルールの管理」ダイアログボックスから一覧で確認・編集できます
アクセス方法: アクセス方法:「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「ルールの管理」をクリック
ここでは、以下のことができます:
- 条件の優先順位の変更
- 既存のルールの編集
- 不要なルールの削除
- ルールの適用範囲の確認
条件付き書式のトラブルシューティング
よくあるエラーと解決方法
問題:条件付き書式が適用されない
対策:
- 条件式の文法が正しいか確認
- セル参照(絶対参照・相対参照)が適切か確認
- 他のルールと競合していないか確認
問題:意図しない部分にも書式が適用される
対策:
- ルールの適用範囲を確認
- セル参照(絶対参照・相対参照)が適切か確認する
問題:条件付き書式の設定が複雑化してわかりにくい
対策:
- 「条件付き書式の管理」から不要なルールを削除
- シンプルな条件設定を心がける
- 複数のルールを組み合わせる代わりに、可能な限り数式で対応
よくある質問
Q1: 条件付き書式と通常の書式設定の違いは何ですか?
A1: 通常の書式設定は手動で適用され固定されますが、条件付き書式はセルの値や条件に応じて自動的に変化します。データが更新されると、条件に合致するかどうかに応じて書式も自動的に更新されます。
Q2: 条件付き書式は最大いくつまで設定できますか?
A2: 1つのワークシートに設定できる条件付き書式の数に、以前のバージョンのような明確な上限はありません。ただし、あまりに多くのルールを設定するとパフォーマンスに影響が出る可能性があります。
Q3: 条件付き書式を完全に削除するにはどうすればいいですか?
A3: 対象のセル範囲を選択し、「条件付き書式」→「ルールのクリア」を選択すると、すべての条件付き書式が削除されます。
Q4: テキスト(文字列)に対しても条件付き書式は使えますか?
A4: はい、数値だけでなく、テキストに対しても条件付き書式を設定できます。例えば「特定の単語を含むセルを強調」などの設定が可能です。
Q5: 条件付き書式は印刷されますか?
A5: はい、条件付き書式で設定した色や書式は印刷時にも反映されます。ただし、プリンターの設定で「白黒印刷」を選択している場合は、色の違いがグレースケールで表現されます。
まとめ
条件付き書式は、Excelデータの分析や整理において非常に強力なツールです。基本的な使い方をマスターすれば、以下のようなメリットがあります:
- データの傾向や例外値を視覚的に素早く把握できる
- 手作業での色付けや書式設定の時間を大幅に節約できる
- レポートやデータの見栄えが格段に良くなり、情報の伝達力が向上する
- データが更新されても、条件に応じて自動的に書式が変更される
本記事で紹介した基本的な操作から応用テクニックまでを活用すれば、あなたのExcel作業は格段に効率化されるでしょう。特に「数式を使った条件設定」をマスターすれば、さらに複雑な条件にも対応できるようになります。
まずは自分の日常業務で使っているExcelファイルに条件付き書式を適用してみてください。データの見え方が変わり、新たな気づきが得られるかもしれません。
Excel初心者の方も、この機会に条件付き書式の基本を身につけて、一歩先のExcelスキルを習得しましょう。
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