【Excel初心者向け】ワークシート操作(追加・削除・移動・コピー)の基本を解説

はじめに
「Excelを使っているけれど、シートの操作方法が、よく分からない」 「データが増えてきて、Excelファイルの中がごちゃごちゃしてきた」 「もっと効率よくデータを整理する方法はないかな?」
このようなことを感じた経験はないでしょうか。
Excelには「ワークシート」(シートとも呼ばれます)という便利な機能があり、これを上手に活用することで、たくさんの情報を分かりやすく整理・管理できます。しかし、特にExcelを使い始めたばかりの頃は、シートの増やし方や整理の仕方が分からず、戸惑うこともあるかも知れません。
この記事では、Excel初心者の方に向けて、ワークシートの基本的な使い方(追加・削除・移動・コピー)を分かりやすく解説します。これらの操作を覚えるだけで、Excelでの作業がぐっと楽になり、データの管理もしやすくなります。
この記事で紹介している画面のスクリーンショットや一部の操作方法は、主にMicrosoft 365のExcelを元に作成しています。お使いのExcelのバージョン(例:Excel 2019, Excel 2016など)によっては、ボタンの位置やメニューの表示が若干異なる場合がありますが、基本的な操作(シートタブの右クリック、ドラッグ&ドロップなど)はほとんどのバージョンで共通して利用できます。
まずは基本から。Excelの「ワークシート」と「ブック」の関係
Excelを使いこなす上で、まず理解しておきたいのが「ブック」と「ワークシート(シート)」の関係です。
- ブック (Book): Excelファイル (.xlsx) そのものを指します。本に例えると、ファイル全体が「一冊の本」にあたります。
- ワークシート (Worksheet / Sheet): ブックの中にある個別の作業スペース(表やデータがあるページ)です。本に例えると、ブックという本の中にある「各ページ」がワークシートにあたります。

一つのブック(Excelファイル)の中に、複数のワークシート(シート)を作成して、情報を整理することができます。
ワークシート(シート)を使い分ける4つのメリット
シートを複数に分けると、主なメリットは4つあります。
- 情報整理がしやすい: 関連性の高いデータをシートごとにまとめることで、どこに何の情報があるか分かりやすくなります。(例:月別売上、商品別在庫など)
- 見やすさ向上: 1つのシートに情報を詰め込みすぎると見づらくなりますが、シートを分ければスッキリします。
- 印刷や設定が楽: シートごとに印刷範囲や設定を個別に管理できます。
- 共同作業や管理がしやすい: 部署や担当者ごとにシートを分ければ、他の人のデータを誤って編集するリスクを減らせます。
このように、ワークシートを使いこなせると、Excelでのデータ管理が格段に楽になります。それでは、具体的なシートの操作方法を見ていきましょう。
Excelワークシート(シート)の追加方法
新しいシートを追加するには、主に2つの方法があります。状況に応じて使い分けましょう。
方法1:右クリックメニューから挿入する(特定の位置に追加したい時に便利)
- 手順:
- 画面下部に表示されている既存のシートタブを右クリックします
- 表示されたメニューから「挿入」を選びます
- これで新しいシートが追加されます(現在選択しているシートの左隣に追加されます)
· メリット: 既存のシート間の特定の位置に直接新しいシートを挿入できます。
· デメリット: プラスボタンより手順が1〜2ステップ多くなります。
· おすすめの場面: シートの順番を後で整理する手間を省きたい場合。

方法2:「新しいシート」ボタン(+)で追加する(手早く追加したい時に便利)
- 手順:
- 画面下部のシートタブ一覧の右端にある「+」(プラス)マークをクリックします
- クリックするだけで新しいシートが追加されます(一番右端に追加されます)
- メリット: ワンクリックで素早くシートを追加できます。
- デメリット: 必ず右端に追加されるため、特定の位置に入れたい場合は後で移動が必要です。
- おすすめの場面: とりあえず新しいシートを追加したい場合や、シートの順番を気にしない場合。

シート追加時のポイント
- シート名は後からダブルクリックで変更できます(例:「売上表」「経費一覧」など)
- バージョンによっては最初から3枚のシートがある場合もありますが、使わないシートは削除して整理しましょう
- 大量の同じフォーマットのシートが必要なときは、元となるシートを右クリックから「移動またはコピー」を選び、「コピーを作成する」にチェックを入れて複数枚コピーすると効率的です
不要なExcelワークシート(シート)の削除方法
使わなくなったシートは削除して、ブック(ファイル)を整理しましょう。削除は簡単ですが、元に戻せないので慎重に行う必要があります。
シート削除の基本手順
- 削除したいシートのタブを右クリックします
- 表示されたメニューから「削除」を選びます
- シート内にデータがある場合は確認メッセージが表示されます
- 内容を確認してから「削除」ボタンをクリックします

シート削除時の注意点
· 重要:一度削除したシートとその中のデータは、基本的に元に戻せません。Ctrl+Z(元に戻す)は効きません。削除する前によく確認しましょう。
· 間違って削除してしまった場合、ファイルを上書き保存する前であれば、ファイルを「保存せずに閉じる」を選んで閉じ、再度開き直すことで削除前の状態に戻せる可能性があります 。
· 心配な場合は、削除操作を行う前にExcelファイル自体のバックアップ(コピー)を取っておくと安心です 。
Excelワークシート(シート)の移動・コピー方法
シートの順番を変更したり、同じ内容・形式のシートを複製したりする方法です。操作に慣れると非常に便利です。
方法1:「移動またはコピー」ダイアログを使う(確実・多機能な方法)
- 手順:
- 移動またはコピーしたいシートのタブを右クリックします 。
- 表示されたメニューから「移動またはコピー」を選びます 。
- 「移動またはコピー」ダイアログが表示されます 。
- 移動の場合:
- 「挿入先」のリストで、移動したい位置(どのシートの前に置くか)を選びます 。リストの末尾にある「(末尾へ移動)」を選ぶと一番右端に移動します。
- 別の開いているExcelファイル(ブック)に移動したい場合は、「移動先ブック名」のドロップダウンリストから移動先のファイル名を選びます 。
- コピーの場合:
- 上記4.の操作に加えて、ダイアログ下部にある「コピーを作成する」のチェックボックスにチェックを入れます 。
- 「OK」ボタンをクリックして完了です 。
- メリット: 別の開いているブックへの移動・コピーや、コピー作成の有無を確実に指定できます。操作ミスが起こりにくいです。
- デメリット: ドラッグ操作に比べて手順が多く、少し時間がかかります。
- おすすめの場面: 別のExcelファイルにシートを移したい場合、コピーか移動かを明確に指定したい場合。

方法2:マウスドラッグで移動・コピーする(直感的・簡単な方法)
· 手順 (移動):
- 移動したいシートのタブをマウスでクリックしたまま(押している状態)にします。
- そのまま移動したい場所までドラッグ(マウスを押したまま動かす)します。シート間に黒い▼マークが表示されるので、目的の位置でマウスのボタンを離します 。
- シートが移動します。
· 手順 (コピー):
- コピーしたいシートのタブをクリックします 。
- キーボードの Ctrlキーを押しながら、シートタブをドラッグします。マウスポインタに「+」マークが付いたことを確認してください 。
- コピーしたい位置(黒い▼マーク)でマウスのボタンを離します。(Ctrlキーはマウスを離してから放すようにすると確実です)
- シートがコピーされます(シート名には(2)などの連番が自動で付きます)。
· メリット: マウス操作だけで直感的に素早くシートの順番変更や複製ができます。
· デメリット: 操作に慣れないうちは、移動のつもりがコピーになったり、意図しない場所に移動させてしまう可能性があります。別のブックへの移動・コピーはこの方法ではできません。
· おすすめの場面: 同じブック内でシートの順番を頻繁に入れ替える場合や、手早くシートを複製したい場合。
シート移動・コピー時のポイント
- 複数のシートを一度に選択するには、「Ctrl」キーを押しながら各シートをクリックします
- 連続するシートをまとめて選択するには、最初のシートをクリックした後、「Shift」キーを押しながら最後のシートをクリックします
- シートの移動・コピー後は、シート名を変更するとわかりやすくなります
実践!ワークシート(シート)の便利な活用例3選
ワークシートの操作に慣れてきたら、実際の業務でどのように活用できるか見てみましょう。ここでは、オフィスでよくある3つの活用例を紹介します。
活用例1:月ごと・項目ごとにデータを分けて管理する
· 状況: 例えば、毎月の売上データや経費データを管理したい場合。
· シート構成例:
- 例えば「4月売上」「5月売上」「6月売上」….といった具合に月ごとにシートを作成。
- (または「交通費」「消耗品費」「交際費」のように費目ごとにシートを作成。)
- 最後に「年間集計」シートを作成し、各シートの合計などをまとめる。
· 具体的なメリット:
- 探しやすい: 「5月の売上だけ見たい」という時に、該当シートをすぐに開けます。
- 比較しやすい: 前月や前年同月のシートと比較検討するのが簡単になります。
- 入力ミス軽減: 月や項目が明確に分かれているため、入力する場所を間違えにくくなります。
活用例2:部署や担当者ごとにシートを分けて共同編集・管理する
· 状況: 例えば、部署ごとや担当者ごとに経費精算や進捗管理を行いたい場合。
· シート構成例:
- 「営業部」「開発部」「管理部」のように部署名でシートを作成。
- (または「担当A」「担当B」「担当C」のように担当者名でシートを作成。)
- 各自が自分の担当シートのみに入力・更新を行う。
- 「全体集計」シートで各部署・担当者の状況を一覧できるようにする。
· 具体的なメリット:
- 同時作業がしやすい: 他の部署や担当者の作業と干渉しにくくなります。(※ただし、Excelの共有機能や共同編集機能とは異なります)
- 責任範囲が明確: 各自が自分の担当シートのデータに責任を持つ形になり、管理しやすくなります。
- 誤操作防止: 他の人のデータを誤って編集・削除してしまうリスクを減らせます。
活用例3:データ入力用と集計・分析・印刷用シートを分ける
· 状況: 例えば、日々の売上データ(生データ)を入力しつつ、それらを元にしたグラフや集計表、会議用の印刷資料も作りたい場合。
· シート構成例:
- 「データ入力」シート:日付、商品名、金額などの元データをひたすら入力する。
- 「集計・分析」シート:データ入力シートを参照して、ピボットテーブルや関数で集計したり、グラフを作成したりする。
- 「印刷用レポート」シート:集計・分析シートの結果を見やすくレイアウトし、印刷に適した形に整える。
· 具体的なメリット:
- 元データを保護: 集計や分析、レイアウト変更のために元データを直接加工する必要がなくなり、元データを安全に保てます。
- 作業効率UP: データ入力、分析、資料作成の目的ごとにシートが分かれているため、作業に集中しやすくなります。
- 修正が容易: 集計方法やグラフの種類、印刷レイアウトを変更したい場合、対応するシートだけを修正すればよくなります。
もっと便利に!ワークシート(シート)応用テクニック
基本操作に慣れたら、次はこれらのテクニックでさらに作業効率をアップさせましょう。
テクニック1:複数シートに同じ入力や書式設定を一括で行う
· どんな時に便利?:月別レポートなど、同じ形式のシートがたくさんあり、共通の修正(例:タイトル行の変更、書式の設定)を一度に行いたい時。
· 手順:
- 複数シートを選択: Ctrlキーを押しながら、対象のシートタブを順にクリックします(選択されたタブは白っぽくなります)。連続している場合は、最初のタブをクリック後、Shiftキーを押しながら最後のタブをクリックします。
- 操作を実行: 選択された状態のまま、いずれか一つのシート上で入力や書式設定(文字色の変更、罫線の追加など)を行います。
- グループ解除: 操作が終わったら、選択されているシートタブのいずれかを右クリックし、「シートのグループ解除」を選びます。(これを忘れると、意図せず他のシートにも変更が加わり続けるので注意)

· ポイント: この機能を使うと、同じ作業を何度も繰り返す手間が省け、修正漏れも防げます。
テクニック2:シート名を分かりやすく変更する
- どんな時に便利?:「Sheet1」「Sheet2」のままではなく、「4月実績」「顧客リスト」のように内容が分かる名前にして管理しやすくしたい時。
- 詳しい手順はこちら: シート名の変更方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
テクニック3:シート見出し(タブ)に色を付けて区別しやすくする
- どんな時に便利?:たくさんのシートがある中で、特に重要なシートや種類が異なるシート(例:入力用シートと集計用シート)を視覚的に目立たせたい時。
- 詳しい手順はこちら: シート見出しの色分け方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
テクニック4:シートを保護して誤入力を防ぐ
- どんな時に便利?:完成した集計表やテンプレートなど、誤って数式やデータを変更・削除されたくない重要なシートがある時。
- 詳しい手順はこちら: シートの保護機能については、以下の記事で詳しく解説しています。
テクニック5:便利なショートカットキー
マウス操作だけでなく、キーボードのショートカットキーを覚えると、さらに素早くシート操作ができます。いくつか例を紹介します(お使いのPC環境によって異なる場合があります)。
- 新しいワークシートを挿入: Shift + F11
- 次のワークシートへ移動: Ctrl + PageDown
- 前のワークシートへ移動: Ctrl + PageUp
最初はマウス操作で確実に覚え、慣れてきたらショートカットキーも試してみると良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
最後に、ワークシート操作に関して初心者の方が疑問に思いやすい点をQ&A形式でまとめました。
Q:最大で何枚のシートを増やせますか?
A: ExcelのバージョンやPCのメモリ(RAM)容量に依存しますが、理論上は、メモリが許す限り作成可能です。ただし、シート数が多くなるとファイルサイズが増加し、動作が遅くなる可能性があるため、実用的には数百枚程度を目安にすると良いでしょう。
Q: 削除したシートを復元することはできますか?
A: 一度削除したシートは通常の「元に戻す」機能では復元できません。ただし、ファイルを保存せずに閉じて再度開くと復元できる場合があります。重要なデータは事前にバックアップしておくことをお勧めします。
Q: 別のExcelファイルからシートをコピーできますか?
A: はい、可能です。以下の手順で行います。
- コピー元とコピー先のExcelファイルを両方開きます
- コピーしたいシートのタブを右クリックし、「移動またはコピー」を選びます
- 「移動先ブック名」のドロップダウンリストからコピー先のファイル名を選びます
- 「コピーを作成する」にチェックを入れます
- 「OK」をクリックします
Q: シートの順番を一度にまとめて変更することはできますか?
A: 複数のシートを選択してから一括で移動することが可能です。「Ctrl」キーを押しながら移動したいシートをすべて選択し、選択した状態でドラッグして移動させることができます。
まとめ:Excelワークシート管理の基本をマスターしよう
この記事では、Excel初心者の方向けにワークシートの基本的な管理方法を解説しました。主なポイントをまとめると以下の通りです:
- ワークシートは関連するデータを整理するのに役立ちます
- 新しいワークシートは「右クリック→挿入」または「+ボタン」で追加できます
- シートの削除は「右クリック→削除」で行いますが、シートの削除は元に戻せないため、慎重に行いましょう。
- シートの移動・コピーは「右クリック→移動またはコピー」またはドラッグ操作で可能です
- 複数のシートを使い分けることで、データ管理を効率化できます。
- 色分けや保護機能を活用して、さらに使いやすく整理しましょう
ワークシートの基本操作をマスターすれば、Excelでの作業効率は格段に向上します。この記事で紹介した操作方法を実際に試しながら、自分だけのExcelファイル整理術を身につけましょう。
この記事ではワークシート操作の基本を解説しましたが、Excelには他にもたくさんの便利な機能があります。他のExcel初心者向けの記事もまとめていますので、ぜひご覧ください。
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