Power Automate DesktopによるWebフォーム自動入力:ブラウザー操作の基本と手順を徹底解説

2025年9月18日

English version.

業務でのWebフォームへの反復的なデータ入力作業は、時間の浪費と人的ミスのリスクを伴う非効率な業務プロセスです。

Power Automate Desktopを活用することで、これらの作業を自動化し、業務効率を大幅に改善することが可能です。

本記事では、ブラウザー拡張機能の導入から各フォーム部品(テキストボックス、ドロップダウン、ラジオボタン、チェックボックス)への入力、ボタンクリック、ブラウザー終了までの基本操作を網羅的に解説します。

事務職や経理担当者など、エンジニア以外のビジネスパーソンでも実践できる内容となっています。

Power Automate DesktopとWebブラウザー操作の準備

拡張機能のインストールと初期設定

Power Automate Desktopでブラウザー操作を実行するには、事前に拡張機能のインストールが必要です。

Internet Explorerを除く主要ブラウザー(Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox)では、この設定が必須となります。

拡張機能のインストール後、操作対象となるWebページを事前に開いておきます。

今回のサンプルでは、テスト用フォームを使用します。

このフォームは実際の登録機能はなく、空メールが管理人に送信されるだけの安全な環境です。

Webフォームの各部品を自動入力する手順

ブラウザーを起動する

  1. 「ブラウザー自動化」から「新しい Microsoft Edge を起動する」をドラッグします(別のブラウザーを利用する場合は別のアクションを選択します)
  2. 「初期 URL」にアクセス先のURL(https://blog-tips.sekenkodqx.jp/2019/09/25/uipath-test00004/)を入力します
  3. 「保存」をクリックします

生成された変数「Browser」は、起動したブラウザーを示します。

この変数は後続のアクションでブラウザーインスタンスを指定する際に使用します。

テキストボックスに文字列を入力する

テキストボックス(今回は「お名前」欄)への自動入力手順です。

  1. 「ブラウザー自動化」の「Web フォーム入力」から「Web ページ内のテキスト フィールドに入力する」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に先ほど生成した変数「Browser」を指定します
  3. 「UI 要素」の「新しいUI要素の追加」をクリックします
  4. 表示されたウィンドウの状態で、ブラウザーの操作対象テキストボックスにマウスカーソルを合わせます
  5. 赤い枠線が表示されたら、Ctrlキーを押しながらクリックします
  6. 「完了」をクリックしてUI要素を確定します
  7. 「テキスト」に自動入力したい文字列を設定し、「保存」をクリックします

重要な注意点: UI要素は指定に失敗する場合があるため、アクション追加の度にフローを実行してテストすることを推奨します。

ドロップダウンリストから項目を選択する

都道府県選択などのドロップダウンリスト操作手順です。

  1. 「Web フォーム入力」から「Web ページでドロップダウンリストの値を設定します」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に変数「Browser」を指定します
  3. テキストボックスと同様の手順でUI要素を追加します
  4. 「操作」を「名前を使ってオプションを選択します」に設定します
  5. 「オプション名」に選択したい項目名(例:東京都)を入力し、「保存」をクリックします

ラジオボタンを選択する

性別選択などのラジオボタン操作手順です。

  1. 「Web フォーム入力」から「Web ページでラジオボタンを選択します」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に変数「Browser」を指定します
  3. 選択したいラジオボタンにフォーカスを合わせ、Ctrlキーを押しながらクリックしてUI要素を追加します
  4. 設定を確認し「保存」をクリックします

実運用での注意: ラジオボタンは選択肢ごとに個別のアクションが必要です。複数の選択肢がある場合は、IfやSwitchアクションで条件分岐を実装します。

チェックボックスの状態を設定する

メールマガジン送信希望などのチェックボックス操作手順です。

Webブラウザーのチェックボックスのスクリーンショット
  1. 「Web フォーム入力」から「Web ページでチェックボックスの状態を設定します」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に変数「Browser」を指定します
  3. 対象のチェックボックスにUI要素を設定します
  4. 「チェックボックスの状態」でオン/オフを選択し、「保存」をクリックします

ボタンをクリックして送信する

フォーム送信ボタンのクリック操作手順です。

Webブラウザーの送信ボタンのスクリーンショット
  1. 「Web フォーム入力」から「Web ページのボタンを押します」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に変数「Browser」を指定します
  3. 送信ボタンにUI要素を設定し、「保存」をクリックします

ブラウザーを自動で閉じる

処理完了後のブラウザー終了手順です。

  1. 「ブラウザー自動化」から「Web ブラウザーを閉じる」をドラッグします
  2. 「Webブラウザーインスタンス」に変数「Browser」を指定します
  3. 「保存」をクリックします

画面を残したい場合は省略可能ですが、一般的には自動終了が推奨されます。

フローの実行

フローを実行して自動入力をテストする

作成したフローを段階的に実行し、各アクションが正常に動作することを確認します。

UI要素の指定が適切でない場合は、再度要素の取得から実行してください。

本自動化フローの応用と可能性

Excel以外のデータソースとの連携の可能性

Power Automate DesktopはExcelファイルとの連携が強力ですが、CSVファイル、データベース、Webサービスからのデータ取得も可能です。

これにより、様々なデータソースから情報を取得してWebフォームに自動入力するワークフローを構築できます。

なお、ExcelとPower Automate Desktopを組み合わせたWebフォーム入力の詳細については、こちらの記事で解説しています。

より複雑なWebページの自動化

基本操作をマスターした後は、以下のような高度な自動化に挑戦できます:

これらの技術により、単純な作業の効率化から複雑な業務プロセスの自動化まで、幅広い活用が期待できます。

Power Automate Desktopは、技術的な専門知識がない方でも段階的に学習できるツールであり、継続的な業務効率向上を支援します。

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