【Excel初心者向け】セルの相対参照と絶対参照の違いと使い分けガイド

2025年6月3日

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Excelの相対参照と絶対参照の違いを初心者向けに徹底解説。F4キーでの切り替え方、複合参照の活用例、業務効率化のコツまで網羅。もう数式のコピーで悩まない。
目次

はじめに

Excelで計算式を作っていると、「コピーしたら参照先がずれてしまった」「いつも同じセルを参照したいのに毎回手動で修正するのが面倒」といった経験はありませんか。

これらの問題は、相対参照と絶対参照の使い分けを理解することで簡単に解決できます。この記事では、Excel初心者の方でもすぐに実践できるよう、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

そもそもセル参照とは何か

セル参照とは、Excelの数式や関数で特定のセル(例:A1やB2など)を指定することです。例えば「=A1+B1」という数式では、A1セルとB1セルを参照して計算を行っています。

このセル参照には「相対参照」と「絶対参照」という2つの方法があり、数式をコピーした時の動作が大きく異なります。

Excelでセル参照を使った基本的な計算式の例

相対参照とは:数式をコピーすると参照先が自動で移動する

相対参照は、Excelでセルを指定する際の標準的な方法です。数式をコピーまたはオートフィルすると、参照するセルの位置が相対的にずれていきます。

相対参照の動作例

例えば、C1セルに「=A1+B1」という数式があるとします。この数式をC2セルにコピーすると、自動的に「=A2+B2」に変わります。これが相対参照の特徴です。

相対参照により数式コピー時に参照先が自動で変更される様子

相対参照が便利な場面

相対参照は以下のような場面で威力を発揮します:

  • 売上表で各行の「単価×数量」を計算する時
  • 成績表で各科目の合計点を求める時
  • 家計簿で各月の収支を計算する時

これらの場合、一つの数式を作って下にコピーするだけで、全ての行の計算が自動的に完了します。

絶対参照とは:数式をコピーしても参照先を固定する

絶対参照は、数式をコピーしても参照するセルの位置を固定したい時に使用します。セルの列番号の前と行番号の前に「$」マークを付けることで設定できます(例:$A$1)。

絶対参照の設定方法

絶対参照を設定する方法は2つあります:

  1. 手動入力:数式を入力する際に「$A$1」のように$マークを直接入力
  2. F4キー:数式バー内でセル参照部分にカーソルを置いてF4キーを押す

F4キーを押すと、以下の順番で切り替わります:

  • A1(相対参照)→ $A$1(絶対参照)→ A$1(行のみ絶対)→ $A1(列のみ絶対)→ A1(相対参照に戻る)

絶対参照の実用例:消費税計算

消費税率のように、計算で常に同じ値を参照したい場合に絶対参照が活躍します。

例えば、D1セルに消費税率「0.1」が入力されているとします。商品価格に消費税を加算する計算で、すべての商品が同じ税率セル(D1)を参照する必要があります。

絶対参照を使用した消費税計算の実例
絶対参照によりセルが固定される概念を表したイラスト

複合参照:行または列のみを固定する

複合参照とは、行のみまたは列のみに$マークを付ける参照方法です。これにより、一方向のみセル参照を固定できます。

複合参照の種類

  • $A1:列(A列)のみ固定、行は相対的に変化
  • A$1:行(1行目)のみ固定、列は相対的に変化

複合参照の活用例:九九の表

九九の表を作成する際、複合参照を使うと効率的に作成できます。

複合参照を活用して作成した九九の表

参照形式を使い分けるコツ

適切な参照形式を選ぶためのポイントをまとめました:

相対参照を使う場面

  • 同じ計算パターンを複数行で繰り返す時
  • 表の各行で対応するセル同士を計算する時
  • データの位置関係が重要な計算

絶対参照を使う場面

  • 税率、手数料率など固定値を参照する時
  • 参照先を絶対に変えたくない時
  • 基準となる値が1つのセルに決まっている時

複合参照を使う場面

  • 表の見出し(列見出しまたは行見出し)を参照する時
  • 一方向のみの固定が必要な計算
  • クロス集計表の作成時

Excel2019以降のスピル機能との関係

Excel2019以降に追加されたスピル機能により、従来絶対参照が必要だった場面でも、より簡単に数式を作成できるケースが増えています。

スピル機能では、1つの数式で複数のセルに結果を一度に表示できるため、参照の固定を意識せずに効率的な計算が可能です。ただし、基本的な相対参照と絶対参照の概念は依然として重要な基礎知識です。

Excel2019以降のスピル機能を使用した一括計算の例

よくある質問

Q1. F4キーを押しても参照形式が変わりません

A1. 数式バー内でセル参照部分(例:A1)を選択してからF4キーを押してください。セル参照部分が選択されていない状態では機能しません。

Q2. $マークはどこに付ければよいですか

A2. 固定したい部分の前に$を付けます。列を固定したい場合は列文字の前($A1)、行を固定したい場合は行番号の前(A$1)、両方固定したい場合は両方の前($A$1)に付けます。

Q3. 相対参照と絶対参照はどちらを多く使いますか

A3. 一般的には相対参照の使用頻度が高いです。Excelの標準設定も相対参照になっており、多くの計算で自然な動作を提供します。絶対参照は特定の場面で意図的に使用します。

Q4. 古いバージョンのExcelでも使えますか

A4. 相対参照と絶対参照は、Excel 2003以前の古いバージョンでも同様に使用できます。F4キーでの切り替えも同じ操作です。

Q5. 数式を編集中に$マークが消えてしまいます

A5. 数式を編集する際は、セル参照部分を直接編集しないよう注意してください。$マークを含めてセル参照を再入力するか、F4キーで設定し直してください。

まとめ

セルの相対参照と絶対参照は、Excelを効率的に使う上で欠かせない基本機能です。

相対参照は数式をコピーする際に参照先を自動調整し、絶対参照は参照先を固定します。F4キーを使えば簡単に切り替えができ、複合参照により部分的な固定も可能です。

これらの機能を使いこなすことで、手作業での修正時間を大幅に短縮し、より正確で効率的なExcel作業が可能になります。まずは消費税計算のような身近な例から練習を始め、徐々に複雑な計算にも挑戦してみてください。Excelのさらに詳しい操作については、関連するオートフィル機能コピー&ペーストの記事も参考にしてください。

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